神経系から考える評価・治療戦略 #2
みなさんこんにちは
前回お伝えした神経系から考える評価・治療戦略のパート2です。前回と重複した内容も多いですが、何を目的に評価していくのかという視点を前回より詳しくお伝えしていきます。この記事は
- 理学療法士
- 新人理学療法士
- 若手理学療法士
評価の流れ
まずは評価の流れをおさらい
問診は必ず1番初めに行うことですが、後の流れは正直臨機応変に適材適所で行っていき、いかに短い時間でできるかが勝負だと思っています。今は丁寧に時間をかけて練習していますが、いずれは素早く正確にできるようになる
- 問診
- 歩行評価
- 片脚立位
- 座位評価
- 立位評価
- 並進バランステスト
- 上肢外転テスト(座位・立位・立位左右荷重別)
- 臥位nerveテンション(神経伸張テスト)
- 臥位頸椎アライメント・硬度評価
- 座位脊柱評価
- 動きのクセ評価
一つずつ目的を整理していきます
各評価項目の目的
【問診】
言わずもがな原点にして頂点。問診からどこまでストーリーを導出できるか。ここである程度症状の原因をストーリー仕立てで説明できるように
問診についてはまた別のコラムでじっくりとお伝えしたいと思います。
【歩行評価】
見るべきポイントは、以下の4つ
- 腕振り
- 身体動揺
- 歩行リズム
- 立脚期の沈み込み
▶︎腕振り
・腕が振れていない(腕が振れていない側に問題がある可能性)or腕振りが過剰 (どこかの固定部位を代償している可能性)
▶︎身体動揺
・動揺側に問題がある可能性
▶︎歩行リズム
・リズムが変わる時の立脚側に問題がある可能性
▶︎立脚期の沈み込み
・身体動揺と似ているが沈み込み側の腹圧が低下している可能性
結構歩行分析とか学校でめちゃめちゃガッツリ勉強してて、実習とかでも細かく評価しているけど、歩行評価だけで決めつけるのは横暴な評価だと思うので、あくまで他の評価結果と照らし合わせるくらいの目的を持って歩行はみています。
【片脚立位】
簡便に左右どちらに問題があるかの予測が立てられる。
【座位評価】
座位姿勢と他の評価結果と照らし合わせてなぜこの座位姿勢になっているかを関連づけるため。
全ての評価で言えることですが、あくまで評価は単純に目の前の現象を捉えているだけなので、一つの評価結果だけでここが問題とは言い切れません。他の評価結果と照らし合わせて、ストーリーを立てて、検証をしてはじめて、ここが問題だと言えます。自分もそうでしたが、評価結果から直接ここが原因だと結び付けても、大抵の場合で原因ではなく結果であることが多いです。
座位で評価するポイントは3つ
- 法則性からの逸脱
- 頸部・体幹の回旋・側屈方向の確認
- 重心
▶︎法則性からの逸脱
・肩甲骨、腸骨稜のアライメントをみることで
▶︎頸部・体幹の回旋・側屈方向の確認
・動きのクセが把握できる
▶︎重心
・重心かかってる方は動きが生じにくい(動きが停滞している)可能性
【立位評価】
座位と比較して、足部の問題が大きいのか、足部より上の問題なのかのスクリーニングができる。
例)座位では法則性通りだけど、立位では法則性から逸脱する
→足部の問題?が考えられる。
みるべきポイントは座位と同様
【並進バランステスト】
左右の腹圧の状態を確認、治療部位の特定のための効果判定にも用いる
見るポイント
- 上肢の重さ
- リーチ時の抵抗感
- 下肢の代償の有無
【上肢外転テスト(座位・立位・立位左右荷重別)】
上肢外転(外乱)を加えた時の上肢の抵抗感をみて、左右差をみる。また、座位と立位で比較することで足部の問題か足部より上の問題かを予測する。
【臥位nerveテンション(神経伸張テスト)】
神経が伸張されているところを探るため。神経系は全て繋がっているため、症状が出ている部位に関係する神経はもちろん全身のnerveテンションを評価することでもれがなくなる
具体的な見方はまた別のコラムでお伝えします。
【頸椎アライメント・硬度評価】
神経系のテンションバランスを把握するため
▶︎頭頸部のフォルム
・回旋・側屈方向の確認
▶︎頚椎アライメントの法則性からの逸脱
・上位頸椎は右回旋、下位頸椎は左回旋
【座位脊柱評価】
脊柱の硬度を評価し、末梢神経(神経根)の伝達が上手くいっているかの確認
【動きのクセ評価】
座位時の体幹回旋方向に感覚入力をして、並進バランステストを行い腹圧が上がるかを評価。また、座位時の体幹回旋方向と逆方向に感覚入力した後に並進バランステストを行い、腹圧がどれくらい下がるかを確認。
以上が各評価項目の目的と評価する時のポイントになります。
1番大事なのは、症状が出るのは弱いところからであり、腰が痛いから腰にアプローチすれば良くなるわけではないということを理解することが重要です。基本の考えですが、改めて治療してみると、対処療法になりがちです。必ず原因と結果の両方にアプローチすることが大切です。
それでは今回はここまで
ではでは^^
評価の考え方の原理原則はこちらの書籍