神経系から考える評価・治療戦略
みなさんこんにちは
今日からようやくブログ執筆再開です。
ここからは毎日5分でもブログを書くことをまずは目標にやっていきます。
スキマ時間の有効活用です。
その辺のコラムもかいていこうと思います。
本日は、クライアントの評価から治療までの一連の流れについてお伝えしていきたいと思います。
あくまで現時点でのもてる知識技術で考えうる評価から治療の流れなので、今後も変わっていきます。むしろずっと同じ評価の仕方を続けているのは成長していないことだと思うのでこれからもどんどんブラッシュアップしていきたいと思います。
今回のコラムは
- 理学療法士
- 新人理学療法士
- 若手理学療法士
それではやっていきましょう。
今までの評価から治療の仕方
今回問診は省きます。問診についても絶賛マニュアルを作りたいという思いがあるのでそのうち問診についてのコラムも出せればと思います。
今までの評価の仕方は、
- 並進バランステスト(毎回やっているわけではなかった)
- 頭頸部の硬度チェック
- 下肢の重さチェック
- 肩甲帯、足底より押圧し、衝撃緩衝系のチェック
- 衝撃緩衝系で違和感のあった部位の硬度チェック
ここまで評価したら、治療に移るのですが、治療の流れは
- 硬度が1番高い場所の硬度軽減を図る
- とりあえず頭頸部の硬度は改善図る
- 一通りの硬度の改善が図れたら、臥位、座位、立位でのオシレーションを行う
というような流れで評価から治療を行なっていました。
書き出してみると、なにも原因を特定できず、とりあえず硬いところをやわらかくして、揺らして終わりというようなひどい評価と治療を行なっていたなと実感しました。
もちろん、硬いところを柔らかくすること、揺らすことが悪いということではなく、なんでその硬い場所を柔らかくするのか?なんで揺らすのか?という目的が大事だということです。
今回、評価から治療の流れを学び直すことで、より一層、なんでこの部位の硬さを柔らかくするのか?この部位の硬さは果たして直接介入する必要があるのか?本当に揺らすことが効果的なのかを考え直させてくれました。
new評価の流れ
- 並進バランステスト▶︎現状の左右差の確認
- 座位姿勢評価▶︎座位での骨アライメントの法則性の逸脱チェック、フォルムチェックからの本人の動きのクセ、重心位置、頸部・体幹回旋方向のチェック。
- この段階で並進バランステストの左右差と法則性の逸脱から左右どちらに本質的な問題が潜んでいるのか推測する。動きのクセから代償をしやすい動きの方向の推測。重心位置から床反力情報の取り込み状況の把握、頸部・体幹回旋方向から神経系のテンションバランスの推察する。
- 臥位で環椎後頭関節、頸椎の硬度評価▶︎頭部のフォルムから、C0~C7までの頸椎のアライメントをチェックし、法則性からの逸脱をみて、神経系のエラーがないかを確認
- 臥位でnerve tensionの評価(神経伸張テスト)▶︎踵骨からの牽引で神経系全体のテンションバランスをみる。この段階で頭部~足底の間のどこにテンションがかかっているかの大体のあたりをつけられる。あたりをつけたら、末梢神経(坐骨神経、大腿神経、正中神経、尺骨神経、橈骨神経)のテンションの確認
ここまでの評価である程度原因を絞ることができる。ただここまでの評価の流れだけでは、原因を完全に特定することができないため、+αの評価と問診が必要になってくる。
+αの評価
脊柱(頸椎~仙椎・尾骨まで)の硬度の評価
▶︎脊柱は、脊髄と神経根が通っているため、脊柱の硬度の高さは、脊髄と神経根において神経伝達障害を引き起こしている可能性があり、それが原因で症状が生じている可能性が高い
神経が密になっている胸郭・腹腔などの体幹部の硬度の詳細な評価
▶︎胸郭周囲や腹腔周囲には、心臓や内臓などが密に位置しており、交感神経節などの自律神経も存在しているため、胸郭・腹腔など体幹部の結合組織の硬度の高さが原因で症状が生じている可能性も考えられる。
姿勢別の評価
▶︎「姿勢変化で症状の増悪・緩和がみられるか」をみていきます。例を挙げると、前腕尺側の痺れがある人に対しては、臥位・座位・立位で症状の増悪・緩和があるかどうかみていく。仮にどの姿勢でも痺れが変わらず生じる場合は、痺れが生じている髄節レベルの脊髄と末梢神経のどちらかの神経系に問題を抱えている可能性が高い。髄節レベルの脊髄と末梢神経を治療しても症状の緩和が図れなかった場合は、症状の原因が一つの髄節レベルだけではない可能性が高く、多髄節にわたって広範囲に問題が抱えている場合があるため、そこではじめて、+αの評価で脊柱や胸郭・腹腔の硬度を確かめてみるということになる。
動きの評価
▶︎動きの評価に関しても、まずは「症状が出る動きを実際にやってもらう」ことが必要。大前提ではあるが、安静時には全く症状がなく、具体的にこの動きをすると症状が出ますというようなクライアントだとしたら、まず1番最初に症状が出る動きをみること。
動きの評価では、基本的ではあるが、”固定部位”と”過剰運動部位”をみることが大事。概ね過剰運動部位は固定部位の代償の結果のため、根本的な原因ではないことが多い。過剰運動部位に隠れた”固定部位”を動きの評価から見つけることが根本原因を探るために必要である。
動きの評価は最初に行ったとしても、評価の途中で行ったとしても、その他の評価結果と照らし合わせることで、ストーリーの導出に大きく貢献する。動きの評価と他の評価結果を統合・解釈することでその人の抱えている問題の根本原因を探ることができる。
new治療の流れ
ここまでの評価の流れをまとめると
・問診、症状の確認
・並進バランステスト
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以下は問診結果に合わせて順不同
・座位姿勢評価
・環椎後頭関節、頸椎の硬度
・nerve tension評価(神経伸張テスト)
・脊柱の硬度
・胸郭、腹腔の硬度
・姿勢別評価
結論いうと、ここが根本原因だという部位を特定する。なぜそこが原因で現在の症状が出たのか自分が導出したストーリーをクライアントに説明し、納得してもらった上で治療開始する。特定部位の結合組織の硬度改善を図り、介入後の症状の変化をみる。症状が消失したら、再度なぜ症状が出現したのかをストーリーを交えて説明し、セルフケアを指導し経過を追うというところまでが理想の治療の流れである。
「結合組織の硬度を改善する」一見やること自体は変わらないのですが、”なぜその部位なのか”ということを評価で明確にし、ストーリーを導出した中で行うというところが全く違います。
とりあえず硬いところを改善すのでは、痛いところをマッサージしてもらったのと変わりません。それは対症療法に過ぎないのです。対症療法ではなく、根本原因を見つけ出し、アプローチすることができる知識と実践を持っているのが理学療法士だと思います。資格を持っていなくてもこの根本原因を探る術を持っている人は山ほどいます。それでも我々はどんな症状の人でも診ることができる術を持っているというのが強みだと個人的に思います。
今回は痛みの症状を想定した、評価~治療の流れをお伝えしましたが、今後は、脳血管疾患の人の見方もお伝えできたらと思います。
評価の流れの基本となる考え方統合的運動生成概念の教科書はこちら
ではでは~^^