栄養コンシェルジュ #7
みなさんこんにちは
前回は消化管ホルモンまでお伝えしましたね。
今回のコラムは
- 栄養指導している人
- ダイエットしている人
- 毎日の料理に困っている人
それではやっていきましょう
消化吸収に関わる臓器の機能
④便
食物の大半は約72時間以内に便として排出されます。それ以上便が出ない場合を便秘症と言います。
便の水分含量によって以下のように名称が決まっています
- 80%以下のものは固形便
- 80~90%では軟~泥状便
- 90%以上では水様便
糞便は、
- 水分を除くと消化を受けない食物繊維
- 腸内細菌
- 無機成分(Ca、Pなど)
- 脂肪成分
- 粘膜細胞
- 少量の消化酵素
などから構成されます。
大腸には多数の細菌が常在しており、腸内細菌叢を形成して、細菌や真菌の生育を阻止しています。
食物繊維を含むカテゴリー1や3を多く摂取すると便は大きくなり、食物繊維が少ない欧米食(高カロリー、高脂肪)では、便が細くなる傾向があります。
腸内常在菌の発酵作用によりガスが生じて排泄物の匂いとなります。
腸内細菌叢について
人の腸内には100兆個以上の腸内細菌が存在しています。
バウヒン弁を超えてやってきた栄養成分や胆汁などを栄養としています。
他の腸内細菌との間で相互に干渉しあってバランスを保ち、腸内細菌叢を形成しています。
腸内細菌叢は消化管の部位、年齢、食事内容、体調、環境などにより変化します。
食事内容が変化したら、腸内細菌のバランスは約1週間で変化します。(細菌の種類によって増殖速度は異なります)
⑤尿
尿は腎臓で産生され、血液中の水分や代謝の末にできた老廃物からできています。
尿は腎臓から尿管を経由して膀胱に蓄積され、尿道口から排出されます。
生産量は、水分摂取量にもよりますが、1時間あたり60ml、一日約1.5Lです。
成分の約98%が水であり、体タンパク質の代謝で生じた尿素を約2%含んでいます。
微量の塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸などのイオン、クレアチニン、尿素、アンモニア、ホルモンも含んでいます。
通常、尿に糖やタンパク質は含まれません。しかし、高血糖状態が続いた場合はには尿中に糖が認められます。(糖尿病)。また腎臓の糸球体と呼ばれる濾過器官が障害を受けると尿中にタンパク質が混入します。(腎疾患など)
尿は黄色で、水分が不足している時はオレンジ色になり、短時間に大量に水を摂取して成分が100%水となった場合は無色です。
血液を濾過して造られるため、腎臓が健康な状態では排泄まで無菌です。
ここまで栄養成分の成り立ちから消化に関わる臓器と機能、消化吸収に関わる酵素やホルモンについてお伝えしてきました。
ここからは栄養主成分に基づいた食品分類についてお伝えしていきます。
栄養主成分に基づいた食品分類
栄養コンシェルジュでは栄養成分に基づいて、「食品カテゴリーマップ」という食品分類をしています。
食品に含まれる栄養成分の違いは、食品の持つ生理機能の違いとして身体に様々な影響を与えます。
食品に含まれる栄養成分のうち、最も多く含まれている栄養成分(主成分)は特に強く生理機能を発揮します。
食品カテゴリーマップは、様々な食品を主成分の違いによって7つのカテゴリーに分類しています。
すなわち、食品を生理機能別に7つに分類しています。
食品が持つ栄養成分を簡単に知ることができるため、健康管理や体重減量、スポーツなど様々な食事管理に役立つツールです。
食品カテゴリーマップについて詳しくお伝えしていきます。
食品カテゴリーマップとは
食品に含まれる栄養成分の違いは、体内での働き(機能)の違いとなります。食品カテゴリーマップでは食品内に特に多く含まれている栄養成分「主成分」の違いで7つの食品カテゴリーに分けています。
7つのカテゴリーに基づいて食事管理することで、食品の機能性を簡単にコントロールすることが可能となります。
主成分の機能を無視して、特殊な栄養成分の機能のみで食事管理を行なっても効果的ではありません。
まずは、主成分の機能別に分類されている食品カテゴリー管理を設定し、次に特殊な機能を有する微量栄養成分に着目して食品を選択していくことが大切です。
健康施設や医療施設のスタッフが食品カテゴリーマップを教育ツールとして用いることで
- 食品の機能性の違いの教育
- 食品カテゴリーバランス管理の指導
- 食品選択能力の向上(自己管理能力の向上)
を可能にします。
また栄養学の知識がない方でも、食品カテゴリーマップを利用することで、普段の食事や外食、コンビニエンスストアなどでの食事選びに役立つなど生活で使えるツールとなります。
そして、指導者と一般の方の双方がこの食品カテゴリーマップに基づいて話し合うことで、食品カテゴリーが栄養管理における「共通言語」となり効率的なコミュニケーションが可能になります。
食品カテゴリーマップの特徴
栄養の機能に基づいた食品選択サポートツールとなる
栄養成分と食品に関する教育ツールとなる
食生活をヒアリングする場面などの食事内容の分析ツールとなる(食事内容を食品カテゴリーに分解して分析することで食事バランス評価が可能)
食品カテゴリー別に食事内容や量を提案することができる
食品カテゴリーバランスを考慮した効果的な栄養サポートが可能となる
続いて各カテゴリーの特徴と摂取のポイントについてお伝えします。
カテゴリー1 主食 (デンプン、糖質)
カテゴリー1の特徴
米や小麦などの穀類、じゃがいもやさつまいもなどの芋類、その他、麺類、かぼちゃ、レンコン、大豆以外の豆類、栗、などがこのカテゴリーに分類されます。グリーンピースもカテゴリー1です。
主食と呼ぶことができ、主となる栄養成分はデンプンと呼ばれる糖質です。
デンプンはブドウ糖が連結したものなので、消化吸収されると100%ブドウ糖として血液に取り込まれます。
すなわち、デンプン→ブドウ糖=血糖となります
ブドウ糖は全身のエネルギー源となる栄養成分ですが、機能としては膵臓に働きかけてインスリンというホルモンを分泌する働きを有しています。
ここで重要なのは「カテゴリー1はインスリンを分泌できる食品」であることです。
他のカテゴリーのこれほど強力なインスリン分泌を促す働きはありません。
インスリンは筋肉に働きかけてブドウ糖を取り込ませるだけでなく、筋肉へのアミノ酸取り込みも著明に亢進させます。さらに筋肉合成を強烈に促進することができます。
インスリンは過剰に摂取した糖質や脂質を脂肪細胞に入れる働きもあり、血液中にいつまでも栄養成分が漂わないように血管を守ってきます。インスリンが出ると太るのではなく、過剰に食べたから太るということです。
したがって、カテゴリー1は身体作りに欠かせない食品であり、体格や運動量に合わせて量を調節するカテゴリーです。
過剰に食べたら他のカテゴリーの食品も太るのは当たり前なので、どのカテゴリーも摂取量の管理はとても大切です。
効果的な栄養サポートのためには、個別に身体の栄養状態をきちんと把握して、その人の身体と目的にあった食品選択、摂取量、タイミングを提案していくことになります。これはエクササイズの種目や方法の提案と同じことと言えます。
カテゴリー1の主成分であるデンプンの機能とその有用性について考慮しながら、目的に応じて上手に栄養コンサルティングを実施していくために、共通の認識と言語が必要となります。
続いて、カテゴリー2についてお伝えします。
カテゴリー2 主菜(たんぱく質、脂質)
カテゴリー2の特徴
主菜のカテゴリーです。
主菜とは、たんぱく質と脂質を同時に含む食品です。
脂質含有量の違いによってA<B<C<D<Eと分類されています。
さらに、脂質の消化吸収の形である脂肪酸には色々な種類があり、機能もそれぞれ異なります。
わかりやすい違いとして
- 魚介類に多い多価不飽和脂肪酸は肥満に対して予防・改善的に働く
- 動物に多い飽和脂肪酸は摂取が多くなると肥満となりやすい働き
- 植物に多い一価不飽和脂肪酸にも他とは異なる機能が存在
そのため、カテゴリー2では脂肪量と脂肪酸の種類によって
- カテゴリー2A(脂肪量少、植物性脂質)
豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品。
- カテゴリー2B(脂肪量少、魚介類性脂質)
イカ、タコ、エビ、カニ、貝類、魚卵や魚の内臓。
コレステロールとプリン体が多く含まれているため、これらに注意が必要な場合(高コレステロール血症や痛風)は控えた方がいいです。
- カテゴリー2C(脂肪量少~多、魚介類性脂質)
魚類とその加工品(かまぼこやちくわなどの練り食品)
- カテゴリー2D(脂肪量少~中、動物性脂質)
鶏肉と鶏卵、鴨など鳥類
- カテゴリー2E(脂肪量中~多、動物性脂質)
牛肉、豚肉、その他4本足の動物(鹿、馬、羊)それらの肉加工品
と分類されています。
簡単に説明するなら、カテゴリー2は太りにくい順としてA→B→C→D→Eと5段階に分かれており、Aが1番太りにくい食品で、Eが一番太りにくい食品ということが場合によって言えます。
本日はここまで