運動は万能薬になる 〜統合的運動生成概念に基づく運動療法〜
みなさんこんにちは
今回はみなさんご存知吉田直紀さんのnoteの内容から自分なりに解釈した運動療法についてお伝えしていこうと思います。
運動療法の進め方がイマイチよくわからない
そもそも動作から何をみて評価すればいいのかわからない
何を目的に運動をやってもらってるかぼんやりしている
- 運動から動作分析をして評価することができる
- 身体の仕組みを理解した上で運動療法を提供できる
- 運動でクライアントが抱えている問題を解決できるようになる
それではやっていきましょう
目次一覧
- 身体構成要素
- 感覚運動システム(統合的運動生成概念)
- 運動に必要な3つの感覚(視覚・前庭・体性感覚)
- 運動で感覚入力をする
- 運動と重力
- 感覚の重みづけ
- 姿勢分析(静的→姿勢修正)
- 運動に必須な呼吸
- 運動システムの評価
- 運動療法の基礎
- 運動療法による治療
- SBL(スーパーフェイシャルバックライン)
- SFL(スーパーフェイシャルフロントライン)
- LL(ラテラルライン)
- SL(スパイラルライン)
- AL(アームライン)
- FL(ファンクショナルライン)
- DFL(ディープフロントライン)
- 運動での評価~治療の概念
- 吉田さんの実際の臨床の流れ
- 痛みに対する運動療法の考え
身体構成要素とは?
身体を構成するものは、大きく分けて4つです。
- 神経組織
- 上皮組織
- 結合組織
- 筋組織
この辺の話はこちらのコラムで詳しくお伝えしています。
にも関わらず、世の中のセラピストはあまりにも”筋肉”に重きを置きすぎていると感じています。筋肉があれば、筋トレすれば全ての身体の不調は改善すると思われています。しかし、上記のように身体構成要素は大きく分けて4つもあるため、筋肉だけで解決しない問題も当然あります。
吉田さんが提唱している運動は、神経組織・結合組織・筋組織を統合した運動と解釈しています。
感覚運動システム
感覚運動システムは、以前のコラムでも紹介しました。
そもそも人はどうやって動くのか?運動とは?です。私は、統合的運動生成概念でも学んだように、運動とは、身体に入力される感覚を神経組織が統合し、その結果導きされる一つの解が運動。です。感覚を受け取るのは、偽単極性ニューロンという神経です。また、筋肉を動かしているのもまたαmotorニューロンという神経です。つまり、筋肉だけで人の動きを考えるのはナンセンスで、必ず、神経が関わってきます。
運動に必要な3つの感覚
そもそも感覚は
- 内臓感覚(内臓痛覚、臓器感覚)
- 体性感覚(表在感覚、深部感覚)
- 特殊感覚(味覚、嗅覚、前庭覚、聴覚、視覚)
身体に入力される感覚を神経組織が統合し、運動として出力されます。
そして、この感覚で運動に必要なのが、
- 視覚(開眼運動時、3つの感覚のうち7割を視覚占める)
- 体性感覚(関節の角度とか筋肉の伸び縮み)
- 前庭感覚(前庭器迷路。頭部の位置・速度変化が必要)
つまり、運動に必要なこの3つの感覚入力を運動に組み込みましょうというのが結論です。
それでは、一つ一つどんな感覚入力を運動に組み込めばいいかみていきましょう。
体性感覚と運動
吉田さんがお伝えしているポイントは、3つです。
- エンドレンジまで体を動かす
- ねじり運動を加える
- 足部を整えておく
体性感覚の中でも特に、深部感覚を意識しています。深部感覚の受容器は、筋紡錘や腱紡錘です。この受容器に感覚入力するためには、エンドレンジまで動かすことが重要です。
また、皮膚や末梢神経の走行を考えるとねじり運動が非常に効果的です。ねじりを加えることで、皮膚や末梢神経のスライドを大きくすることに繋がり、これは、血流改善や痛みの緩和に寄与します。
表在感覚に関しては、テーピングやインソールといったツールを使うことが有効です。私は、よくインソールを使用しています。
インソールと関連しているのが、足部です。足部が受け取る感覚は身体・運動に与える影響が大きいです。足部になんらかのエラー(例 可動域制限)があると、入力される感覚が狂ってしまい、狂った感覚をもとに運動が出力されます。そうすると、過剰に緊張が入った動きになったり、どこかに負担をかけながらの動きになってしまいます。そのため、足部を整えることは非常に大切になります。
視覚と運動
吉田さんがお伝えしているポイント2つ
- 頭部と眼球を一緒に動かす
- 眼球運動のみの運動を行う
- 追従性眼球運動(頭を動かさずに目で追いかける)
- 跳躍性眼球運動(多くの中から見たいものだけを見つける)
- 両眼視機能(両目で見て立体的に認識すること)
- 視空間認知(パズルをしたり二次元の地図を認識すること)
- 目と手の協応動作(みているものに対して体が反応して動くこと)
視覚への感覚入力はシンプルに視線を固定しないで、体が向く方向に眼球を追従させる
私が、よくやるのは仰向けで寝ている状態で、頭を固定したまま、眼球だけ動かすということです。その次に、身体の動きを眼球運動をリンクさせていきます。また、昨今のスマホの影響で眼球固定している人も多いので、徒手的に眼球周囲の結合組織をほどくこともあります。
前庭覚と運動
前庭感覚に入力するためには、以下の運動が必要です。
- 頭部の傾きを変えた運動
- 運動スピードを変える
例)トランポリン・でんぐりかえし・回転運動・動きながらキャッチボール(同時に視覚情報も使うとよりグッド)
前庭感覚の受容器は、
- 回転加速度を感知する三半規管
- 直線加速度を感知する耳石器
前庭感覚への入力方法は
- 後頭下筋群、側頭骨、環椎後頭関節、頸部周囲、胸郭をほどく
- 眼球運動と頸部の回旋を促す
- 体幹の傾きを入れた運動を取り入れる(サイド系、逆立ち系)
ここまでの運動での感覚入力をまとめると、
- エンドレンジまで動かす
- ねじりを加える
- 足部は整える
- 眼球を動かす
- 前庭器迷路に刺激を入れるために、いろんな肢位で運動を行う
運動と重力の関連性
重力は前庭感覚として入力されるため、積極的に自分の身体の重さを感じられるような運動もおこなっていきます。代表的なのは、うつ伏せや四つ這いなど重力をより感じられるような肢位です。身体の重みを感じてもらうことで、身体認識が高まります。
感覚の重みづけ
1つの感覚が遮断されると他の感覚が鋭くなる
例えば、視覚情報が遮断されると前庭感覚と体性感覚の重みが強くなります。これは、有名だと思いますが、視覚情報が遮断されると、前庭感覚60%体性感覚40%の重みづけが行われます。
これを利用して、視覚からの情報入力が多い人は、視覚を遮断して、前庭感覚や体性感覚を刺激する運動を
体が緊張して体性感覚優位になっているような人は、頭や眼を動かして体性感覚以外の入力を増やす
いろいろな感覚を刺激する運動を提供しましょう。
本日はここまで
ではでは〜
引用
吉田さんのnoteはコチラ
https://note.com/pt7/n/n16f81f1d0a29
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