栄養コンシェルジュ #10
みなさんこんにちは
今回は、前回のエネルギー代謝の続きからお伝えしていこうと思います。
今回のコラムは
- 栄養について勉強したいけど何から始めればわからない人
- ダイエットしたいけど食べながら痩せたい人
- 健康を意識した食事したいけどどうすればいいかわからない人
それではやっていきましょう
エネルギー代謝
⑤基礎代謝
基礎代謝とは何もしないでじっと座っていたり、寝転んだいる状態で、生きていくためだけに必要な最小限のエネルギー量のことです。
じっとしている時のエネルギーの内訳
- 骨格筋 22%
- 肝臓 21%
- 脳 20%
- 心臓 9%
- 腎臓 8%
- 脂肪 4%
- その他 16%
筋肉、肝臓、脳がエネルギーの約6割を消費していることになります。
活動すれば、特に筋肉のエネルギー消費量が激増します。さらに骨格筋量を増やすことができるため、骨格筋でのエネルギー消費量が増え、基礎代謝を増加することができます。
一方、体脂肪は増えてもエネルギー消費量がわずかで、運動しても脂肪自身はエネルギーは使いません。従って、体重を見るときには体脂肪率を確認し、体脂肪を減量することを目標にします。
骨格筋は、運動のみのエネルギー消費だけでなく、運動後も興奮状態で新陳代謝を繰り返しており基礎代謝が上昇しています(運動の慢性効果)
運動の慢性効果は運動後48時間かけて元の状態に戻っていきます(もちろん運動強度や時間によっても変化します)
したがって、運動により筋肉を使うことや筋肉を増やすことで、運動時消費エネルギーや運動後消費エネルギーが増加して体脂肪が減りやすくなります。
ダイエットが目的であれば、運動前は空腹の方が体脂肪や燃焼しやすくなります。ただし、朝食は食べてから運動しましょう。
⑥体脂肪はどうやって増えるのか
筋肉や内臓に入りきらなかった糖質や脂肪は、すべて余すことなく脂肪細胞の中に入って体脂肪として蓄積されます。
脂肪細胞は体脂肪を貯蓄する風船のようなものです。
体脂肪が増えれば、どんどん膨らんでいきます。しかし、容量は決まっているので、入りきらなくなったら、新たな脂肪細胞が新生されます。そしてその中にまた過剰な糖質や脂質が入り膨らんでいきます。
食べれば食べるほど、脂肪細胞の肥大と新生が繰り返されます。
しかし、新生できる数には個人差があり、限界に達すると、糖質や脂質が脂肪細胞に入りきらず血液中に溢れます。これが高血糖(糖尿病)であり脂質異常症です。
外食や揚げ物、ファストフードなど高脂肪の食事が続くと、脂肪細胞の風船が膨らみ、さらに風船が増えてしまうと体重がどんどん増えるので注意が必要です。
ダイエットでは、脂肪燃焼の風船を空っぽにする必要があるため、糖質や脂質の食べ過ぎを控えるか、運動によって消費量を増やすしか方法はありません。
脂肪細胞は脂肪を取り込んで膨らんでいくと食欲を抑える働きをもつレプチンというホルモンを出し始めます。
つまり脂肪細胞は適量の脂肪を取り込んだら「もう食べなくていいよ!」と脳に指令を送ってくれているということです。
それでも食べ過ぎて脂肪細胞が過剰に肥大すると、レプチンは脳で効かなくなり、満腹感を感じなくなっていきます。(レプチン抵抗性)。
そのため肥大した脂肪細胞が増えると食欲が抑えられなくなって過食してしまいます。
肥大化した脂肪細胞は周囲に炎症を引き起こします。肥満では、この脂肪細胞周囲の炎症によりインスリン感受性が弱まり、過剰の糖質や中性脂肪を取り込むことができなくなって、糖尿病や脂質異常症が発症してしまいます。
さらに、脂肪細胞周囲の炎症によって脂肪細胞内に蓄えた脂肪の分解が起こりにくくなり脂肪細胞がなかなか小さくなりません。
つまり、太れば太るほど食欲は抑えられなくなり、脂肪細胞も小さくなりにくくなってしまうため、ダイエットは早めに開始する方が楽なのです。
食事を食べると、脳の中で「報酬系」と呼ばれる神経回路が働きます。いわゆる快楽を感じるのです。我々人間も野生動物と同じように自然界で生きていた時代にも、食事には快楽があるから、わざわざ危険な狩りに出掛けていました。
普通体型の人であっても、食事を食べると報酬系が全開となり今のうちにたくさん食べて飢餓に備えたく感じます。初めて食べ放題や豪華な料理を食べた時を思い出してみてください。とてつもない快楽であったはずです。
満腹になれば、食欲のブレーキをかけるホルモンや神経が働いてくれますが、本能的には快楽を求める脳を理性によって制御する必要があります。本能が理性を上回ると食事が出続けたらいつまでも食べようとします。
しかしそんな生活が続いて、体脂肪が増えてくると、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が効かなくなり、摂食の本能が加速します。
さらに、脳内では報酬系が一種の依存状態になってしまいます。揚げ物が食べたい!甘いものが食べたい!太っていることはわかっているけど食べたい衝動を我慢できない!という状態です。
脂質は最もカロリーが高く、効率的にエネルギーを確保できることから、脳にとっては強烈な報酬系、つまり快楽を感じます。
胃腸の弱い人でも、口の中に脂が広がるようなジューシーな肉や魚料理は、脳では「うまい!」と感じます。強烈な快楽は次の日や、少し時間が経っても「もう一度食べたい!」と欲求も再燃しやすくなります。
脳の記憶は1~2週間、短期記憶として保存されるため、高脂肪の料理を食べると、1~2週間以内にまた食べたくなってしまいます。
したがって、高脂肪の食事を食べたらせめて1週間だけでも脂肪の多い食事や過食を控えることで、繰り返しの欲求を鎮めることができます。
ダイエット中は、報酬系の快楽を忘れるためにも可能な限り低脂肪を心がけ、快楽を求める本能と戦わず、少しでも楽にダイエットを継続できるようにしたいですね。
体脂肪は全身に隅々に行き渡りますが、部位によっては脂肪の蓄積しやすい部位としにくい部位があります。
蓄積しにくい部位には、手や足、手首、肘、膝などよく動かす部位が挙げられます。
反対に、脂肪が蓄積しやすい部位は、腹回りや二の腕(上腕)など、関節が動かすことが少ない部位が挙げられます。
つまり、日常的に動かす部位では脂肪は蓄積しにくいのです。
この理由は、脂肪が日常的な動作の際にエネルギーとして使われるからです。
人によって脂肪のつき方や、つきやすい部位が違うのは、日常動作の量や程度が異なるからです。
運動で全身を動かしてダイエットすることもいいですが、日常動作で腰を動かしたり、二の腕を動かしたり意識するだけでもピンポイントでダイエットを促進することができるのです。
例えば、左右を見たり振り向くときに、首や腰を固定して体全体で動いていませんか?ものをとるとき、腰やお尻を固定して膝と足首だけで動いていませんか?
これら日常生活や姿勢をイシシすることも、ダイエットを効果的にし、身体の障害を予防することになります。
筋トレや有酸素運動だけでなく、ピラティスやヨガなどで姿勢や動作をトレーニングして日常動作を改善することもダイエットや健康管理、介護に至らない活動的な人生には大切なのです。
今回はここまで
ではでは〜^^
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