歩きの科学的根拠集めてみたら健康に良すぎた
みなさんこんにちは
今回は”歩く”って実際どんだけ効果があるのか、どのくらい歩けば効果が得られるのか。というところに焦点をあてて、お伝えしていきたいと思います。
今回のコラムは
- ウォーキングを始めようと思っている人
- 健康に興味が出てきた人
- 運動不足を感じてきたひと
それではやっていきましょう
「1日1万歩」は本当に健康にいいのか?
よく「1日1万歩歩いたほうがいい」ということを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。なにをもってして1万歩という数値が出てきたのか。結論から言うと、健康のためには1日7000~8000歩歩けば効果が得られると2020年The Journal of theAmerican Medical Associationにハーバード大学が発表した論文で示唆されています。一日の総歩数が増えることで死亡率は低下するが、7500歩で下げ止まり平坦化したという。高齢者の場合はもっと少なく、4400歩で死亡率が低下することが判明。健康維持という目的であれば1万歩も歩く必要はないみたいです。
多くの人は、歩けば歩くほど消費エネルギーが上がり痩せられることを期待する。しかしウォーキングは、痩せるのには消費エネルギーが低い。あくまでも循環器や足腰の健康を維持するためであり、無理をする必要はない。成人女性であれば6000歩~8000歩目安で十分なのである。
また、日常的に歩き慣れていない今、歩数を少しずつ増やすことも大切。逆に無理をすれば足・ひざ・腰に負担がかかり、姿勢にも影響を及ぼす、とお茶の水整形外科の銅冶英雄医師は伝えています。
「急にたくさん歩くと足底筋やひざ、腰などを痛めることになります。また女性の場合、中敷きがフラットな靴で歩く人が多い。これだと足のアーチが支えられないので、外反母趾や足底筋膜炎などのトラブルが起こりやすくなります」
次は、歩きに関する最新の論文を紹介していきたいと思います。
歩数と死亡率および心血管疾患リスクの関係
The relationships between step count and all-cause mortality and cardiovascular events: A dose-response meta-analysis
1日あたり1万歩歩くことが広く提唱されているが、1万歩という数字の根拠はほとんどありません。メタアナリシスを実施し、歩数と全ての原因による死亡率及び心血管疾患リスクとの関係を調べた。特に、1日の歩数の違い(低、中、高)と全ての原因による死亡率及びCVD(心血管疾患)との関係を調べた。
レビューはMOOSE(疫学におけるメタアナリシス)ガイドラインに基づいて実施された。レビュープロトコルはPROSPEROデータベースに登録されている。
1日の歩数の違い(低、中、高)全ての死因による死亡リスクの違い
- 1000歩歩数が増えると全ての原因による死亡リスクが23%減少することに関連していた。
- 1日あたり4228歩歩くグループと比較して、1日に6893歩歩くグループでは、全ての死因死亡リスクが21.6%低くなった。
- 1日に9188歩くグループは、最初のグループと比較して全ての死因死亡リスクが36.6%低かった。
心血管疾患との関係
- 1日あたり500歩増加するごとにCVDのリスクは6%低くなった。
- 3742歩歩くグループと比較して、5500歩歩くグループはCVDのリスクが17.7%低かった。
- 9500歩歩くグループは、最初のグループと比較してCVDのリスクが42.9%低かった
まとめ
- 必ずしも1万歩歩かなければならないということではない。
- グループ間の比較のため、4000歩以下は健康に悪いとは言い切れないが、多いに越したことはない。
COVID-19患者の有酸素運動の免疫学的バイオマーカーに対する影響
Aerobic exercises recommendations and specifications for patients with COVID-19: a systematic review
M Alawna et al. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2020 Dec.
運動の種類 ウォーキング、ランニング、サイクリング
運動時間 18~60分
運動強度 最大酸素摂取量の55~80%又は最大心拍数の60~80%
運動頻度 週2~3回
増加した免疫学的バイオマーカー
白血球、リンパ球、好中球、単球、好酸球、IL-6、CD16-56、CD16、CD4、CD3、CD8、およびCD19
【番外編】ポケモンGOが身体活動と心理的社会的結果に与える影響
Effects of Pokémon GO on Physical Activity and Psychological and Social Outcomes: A Systematic Review
ポケモンGOがプレイヤーの身体活動(PA)、および心理的および社会的結果に与える影響を調査することを目的とする
以下の条件を満たす研究を検索した。
- 2016年7月~2021年4月の間の英語の研究
- 定量的研究
- 次の結果のいずれかに対するポケモンGOの関係または影響を調べた:PA、心理、社会的結果
・36の研究が含まれた、全ての研究の参加者は38724人
・心理社会的領域の研究のPAの指標には、
- 毎日の歩数
- さまざまな活動(ウォーキング、サイクリング、ランニング/ジョギング、スケート)で費やした時間や移動距離、座りがちな軽い中程度から激しい運動に費やした時間が含まれている。
・14件の研究では、PAは国際身体活動アンケートなどの主観的な尺度のみで評価
・8つの研究では歩数計、加速度計、活動センサー、モバイルアプリなど客観的な測定値で評価
・心理的結果は以下に示すもの
- 影響
- 人生の満足度
- 感情的知性
- 活力と共感
- PAに対する態度
- 心理的苦痛と幸福
- 心理学
- 作業記憶
- 選択的注意と集中力
- 数学的な計算や読解力
- 創造性想像力
・社会的指標は以下に示すもの
- 対人関係
- コミュニティ所属
- 共感
- 社会不安
- うつ病
- 孤独
ポケモンGOの身体活動への影響
プレイヤーのPAが非プレイヤーよりも大幅に大きいことが報告されている
ポケモンGOの心理的および社会的影響
- ゲームの使用が感情と気分を改善するのに効果的
- 青年期では、選択的注意と集中力が向上し、若い成人の記憶力に関連していた
- ポケモンGOの使用後の社会的幸福の改善が報告されている。共感、社会不安、うつ病などの健康的な対人関係を構築する上で重要な感情の改善と関連していた。
- ポケモンGOをプレイすることは、社会的相互作用の拡大、社交性、帰属意識とつながりに有益だった
- アメリカでは、肥満や慢性疾患を抱える人が増加しているため、多面的な幸福を促進するための革新的で楽しいPA介入を設計することが重要。これは世界的にも。
- ポケモンGOの魅力的な側面の一つは、面白くて探索的な機能。ポケモンGOは他のプレイヤー間の社会的相互作用を促進する独自の機能を備えた物理的な場所に移動する必要があります。
まとめ
ゲーム感覚で歩くだけでも身体活動量が増え、気分と社会的幸福、認知機能の向上に関与しているため、どんなきっかけでも歩くことは身体にプラスの方向に働く。