片頭痛〜海外研究からみる片頭痛とは?〜
みなさんこんにちは
本日は「片頭痛」に関してお伝えしていこうと思います。
片頭痛に悩む人は、日本では、約10人に1人くらいいるみたいです。そんな、意外と身近な片頭痛は、どんな対処法をすればいいのか。海外研究からみていきます。
- 片頭痛に悩んでいる人
- 片頭痛の対処法がわからない人
- 片頭痛なのかわからない人
- 片頭痛への対処法がわかる
- 片頭痛の人への治療法がわかる
- 片頭痛かどうか見分けることができる
片頭痛と睡眠の関連性
アメリカ神経学会の2021年の報告をお伝えします
Subjective Sleep Quality and Sleep Architecture in Patients With Migraine: A Meta-analysis
「偏頭痛患者と健常な人の間に睡眠の質と睡眠の構造に違いがあるのか?」
結論 「ある!」
肌感覚でなんとなく片頭痛と睡眠との関連性はあると感じていましたが、研究でも証明されているのですね。
どんな違いがあったのでしょうか?
以下の2つの指標を用いて、分析していました。
- 主観的な睡眠の質→ピッツバーグ睡眠の質指数(PSQI)
- 客観的な睡眠構造→睡眠ポリグラフ(PSG)
研究の概要ですが、
PSG、PSQIを測定した研究32個のメタアナリティクスです。
メタアナリティクスというのは、研究の中で最上級に根拠があるということです。
PSQIおよびPSGのそれぞれの結果を詳しく見ていきます。
- 偏頭痛のある人の方がPSQIスコアが高かった
- しかも、一時的な偏頭痛を抱えている人と比べて慢性的に偏頭痛を抱えている人の方がPSQIスコアが高かった
偏頭痛の人は睡眠の質が低いことが示唆された
- 偏頭痛の成人は、健康な人と比べてレム睡眠が少なかった
- 偏頭痛の子どもは、目覚めが多く、レム睡眠が少なく、総睡眠時間が少なく、睡眠潜時が短かった
考察
偏頭痛の治療には、睡眠も関係していることから、睡眠に対するアプローチも必要ということが示唆されました。
片頭痛の方や片頭痛の方への治療には、睡眠も考慮することで、症状の改善につながることもあるかもしれませんね。
神経科学教育〜Neuroscience Education〜
偏頭痛に対する治療法「神経科学教育」
Neuroscience Education as Therapy for Migraine and Overlapping Pain Conditions: A Scoping Review
偏頭痛はアメリカで毎年4000万人以上が罹患しており、2番目に障害の多い疾患みたいですね。
神経科学教育療法(NET)Neuroscience education therapyは、痛みの神経生理学について患者を教育する非薬理学的治療法とされています。認知行動療法に近い印象ですね。
NETには
- 痛みは怪我とは一致しない
- 痛みは脳で生成される
- 知覚
- 遺伝学
- 報酬系
- 恐怖
- 脳の可塑性
- プラセボ効果
などが含まれます
NETの目的は、
「患者の痛みに関する誤った考えを正し、患者の恐怖と壊滅的な状況を軽減すること」
実際にNETを行った結果がこちらです
12ヶ月間NETに参加したグループは、対照群と比較して、偏頭痛障害評価スコアが大幅に減少し、投薬量も大幅に減少した
NETの効果を裏付ける神経回路として
- 大脳辺縁系による認知と感情の修正
- 中枢性感作→辺縁系から出る下行性侵害受容器抑制経路の不十分な機能
- 認知の変化による侵害受容抑制の改善
この辺は理学療法の得意分野であり、実際に論文でも言われています。治療プロセスと神経生理学の両方に十分な知識を持っており、NETの提供の役立つ可能性があるので片頭痛の方のリハビリも可能性が出てきますね。
また、NETはオンラインで仮想的に配信することもできると言われています。将来的には、オンラインで片頭痛の治療もできたらいいですね。
運動は、偏頭痛を改善するのに効果的ということが示唆された
日本の片頭痛に対する取り組み
頭痛の診療ガイドライン
日本における片頭痛の有病率は 8.4% で,日常生活に及ぼす影響は,いつも寝込む 4%, 時々寝込む 30%,寝込まないが支障あり40% と,全体の74% は日常生活に支障をきたしている
疑診例も含む緊張型頭痛の有病率は 22.3%(反復性 20.6%,慢性 1.5%)でいつも寝込む 0.5%,時々寝込む 4.7%,寝込まないが支障あり 24% と,29.2% が日常生活に支障をきたしており2) ,片頭痛に比べ影響が少ない傾向がみられた.しかし,緊張型頭痛のうち慢性緊張型頭痛に関しては 40.5% が日常生活に支障をきたしていた
頭痛が起きた時のチェックポイント
危険な頭痛の簡易診断アルゴリズム
Q1 小児・高齢で発症?
はい→危険な頭痛の可能性
いいえ→危険ではない
Q2 発症が6ヶ月未満?
はい→危険な頭痛の可能性
いいえ→危険ではない
Q3 突発性発症?
はい→危険な頭痛の可能性
いいえ→危険ではない
Q4 非典型的症状、今までにない症状、局所神経症状があるか?
はい→危険な頭痛の可能性
いいえ→危険ではない
Q5 発疹、神経脱落症状所見、嘔吐、痛みや圧痛、事故や頭部外傷、感染、高血圧
毎日頭痛があるか?
はい→危険な頭痛の可能性
いいえ→危険ではない
片頭痛の簡易診断アルゴリズム
Q1 頭痛は毎日ありますか?
はい→片頭痛ではない
いいえ→Q2へ
Q2 頭痛は片側だけにありますか?
はい→片頭痛
いいえ→Q3へ
Q3 頭痛によって日常生活に支障を受けますか?
はい→片頭痛
いいえ→片頭痛ではない
片頭痛の治療法
認知行動療法により、一時性頭痛に対して、薬物療法と同等の治療効果が期待できる。
今の時代では、マインドフルネスの検証が行われている。マインドフルネスの治療効果は頭痛の程度及び頻度の軽減のほかに
- 自己効力感の向上
- ストレスへの対処能力
- 頭痛と関連した QOL の向上
にも効果が示されている
まとめ
片頭痛は、認知行動療法のような痛みに対するアプローチがそのまま当てはまるということがわかりました。痛みだけにかかわらず、今どういう状態に身体が置かれているのかを理解することは、症状の改善に不可欠な要素ということに気づきました。理学療法士のみなさんもより丁寧な説明を心がけてみると患者さんの反応が変わるかもしれませんね。
ではでは^^