運動は万能薬になる〜統合的運動生成概念に基づいた運動療法 #2
みなさんこんにちは
今回も、運動は万能薬になると題しまして、吉田さんのnoteの内容を自分なりにまとめたものをお伝えしていきたいと思います。
前回は、運動に必要な3つの感覚を入力していくことが大切というところまでお伝えしました。
続きからやっていきます。このコラムは以下のような人におすすめです
運動療法の進め方がイマイチよくわからない
そもそも動作から何をみて評価すればいいのかわからない
何を目的に運動をやってもらってるかぼんやりしている
- 運動から動作分析をして評価することができる
- 身体の仕組みを理解した上で運動療法を提供できる
- 運動でクライアントが抱えている問題を解決できるようになる
それではやっていきましょう
姿勢分析(静的→姿勢修正)
姿勢分析はあくまで評価のひとつ
姿勢分析の重要性は極めて低いと吉田さんはおっしゃっております。
あくまで、生活習慣や筋バランスの予測にすぎません。
姿勢は大きく分けると
- スウェイバック(後弯平坦型)
- フラットバック(平坦型)
- Kyphosis-lordosis(前弯後弯型)
現代人のほとんどはスウェイバックです。理由は、周知の通りで、デスクワーク、スマホ、パソコンの普及に伴い、前屈みになりやすいという背景からです。
スウェイバックの特徴は
- 股関節伸展感覚の欠如
- 骨盤が前方に移動しているため、結果的にヘッドフォワードになっている
あくまで姿勢なので、これだけでじゃあここの筋肉が弱っているから、この筋肉を鍛えましょうでは、ナンセンス。
姿勢評価に動きの評価をプラスする
統合的運動生成概念では、姿勢も運動の一つであり、最初にお伝えしたように、運動は、身体に入力される感覚を神経組織が統合し、その結果がαmotorニューロンによって運動として伝えられます。姿勢も、筋肉だけではない、感覚・神経など様々な要素で成り立っているため、姿勢評価だけでは、不十分です。
そこで必要になってくるのが、
動きの評価です。
動きを評価するってことは、感覚→神経→運動の一連の流れを評価することになります。
静的姿勢は筋バランスの予測に過ぎず、姿勢と痛みの関連もないと証明されています。
まずは、いきなりダイナミックな動きをするのではなく、一般的ないわゆる「いい姿勢」にすることができるのかみていきます。この目的は、姿勢という動きをどこまで変化させることができるのかをみていきます。
ポイントは、土台から修正していくことです。
修正の仕方は、ピラティスでお馴染みのやり方でOK
- 股関節の伸展
- 骨盤のニュートラル
- 肋骨をしまう
- 胸椎の伸展
- 頭部の位置
この辺を修正していくと
- 固定部位(動きが出にくい場所)
- 過剰運動部位(動き過ぎてしまう場所)
が見えてきます。固定部位と過剰運動部位存在しているところは、問題点としての可能性が高いです。この評価で静的な立位姿勢だけではみれなかった「動き」をみるということになります。
運動に必要不可欠な呼吸
呼吸は生命の根源
呼吸は運動に必要というより、生命維持に必要なのは当たり前の事実です。
つまり運動以前に、「呼吸」がうまくできていない人は、動く以前の問題ということです。
呼吸を整えるために必要な要素は
とてもシンプルです。それが、結果的に、横隔膜の動きや胸郭の体積に関わっていき、呼吸が整ってきます。そのため、上記で挙げた要素の動きが出るようにしていくのが呼吸を整えるために必要です。
呼吸のみるポイントとうまく呼吸してもらうには
呼吸がうまくできない人には、うつ伏せをとってもらい、腹圧が高まるような環境設定をすることで、無意識的に呼吸がうまくできるようになることが多いです。
呼吸評価でみるポイントは
- 胸郭全体が動いているか→動いていない場所、どこの動きが優位なのか
- 肋骨が開いているか→腹圧低下を示唆
現代人の呼吸しすぎ問題
前提に、酸素はヘモグロビンと結合して、血液の中を流れるが、ヘモグロビンと結合したままでは細胞には届かない。
酸素とヘモグロビンが離れるためには二酸化炭素が必要
つまり、酸素だけではなく二酸化炭素も必要なのです。
動きの評価
まずは全体の動きを確認
脊柱・骨盤を目的とした動きの評価です。まずは大雑把に問題点を拾い上げる
- 前屈
- 後屈
- 回旋
- 側屈
一つずつみていきます。
前屈動作
みるポイント
- お尻が後ろに移動→下腿三頭筋の短縮示唆
- 骨盤が床と平行ではない→ハムストリングスの短縮示唆
- 脊柱全体が動いていない→脊柱起立筋の短縮示唆
基本的には、筋膜ラインでいうところのバックラインの短縮をみていきます。どこに代償が出るかで短縮を予測していきます。
後屈動作
みるポイント
- お尻が前にいかない→腸腰筋・大腿直筋の短縮示唆
- 脊柱全体が動いていない→大胸筋・腹直筋の短縮示唆
- 頸部だけが過剰に動く→胸椎伸展不足の示唆
筋膜ラインでいうところのフロントラインの短縮をみていきます。現代人ではほとんどの人が硬くなりやすいです。
回旋動作
まずは、
- 座位
- 立位
で分けて回旋をみます。
- 座位では、脊柱単独の動き
- 立位では、脊柱・股関節・足部の動き
とこれだけでも、どこに問題点があるか分かりやすくなります。
座位と立位で見るのは、どの評価でも言えることですね。座位と立位の動きを比較することで、どこが原因で動きが阻害されているか、どこの動きで代償しているかが分かりやすくなります。
回旋で見るべきポイントは、
- 脊柱が真っ直ぐのまま回旋できるか→フロントラインの短縮示唆
- 肘がひらけているか→胸椎伸展不足の示唆
- 足が閉じているか→大腿筋膜張筋の短縮示唆
- 頭部の位置が変わっていないか→頭頸部筋の筋バランスの崩れ示唆
側屈動作
側屈は脊柱の動きの中で1番難しい(カップリングモーションが関係)
みるポイントは
- 腰椎の過剰側屈→胸椎の動き低下示唆
- 反対側骨盤挙上→腰方形筋の短縮示唆
局所の評価
脊柱の動きから全体の動きを評価した後に、さらに細かく個別にみていきます。
- 頸椎
- 胸椎
- 腰椎
- 骨盤
をみていきます。
頸部
頸部にエラーがあるということは、視覚・前庭感覚にエラーが生じることにつながります。
頸部と視覚の関連性は、眼球運動が生じる時は後頭下筋群が収縮します。頸部にエラーがあると、環椎、軸椎といった頸椎の動きが制限され、環椎・軸椎に付着している後頭下筋群の筋バランスも崩れ、眼球運動が低下します。眼球運動が制限されると得られる視覚情報も低下します。
頸部のエラー→頭部の動きの制限→前庭感覚情報に歪みが出る
これらのことから、頸部の運動制限はないのが理想です。
頭頸部でチェックする運動
- 屈曲
- 伸展
- 回旋
- 側屈
よくみられる、頸部のエラーは
- フォワードヘッド=上位頸椎伸展+下位頸椎屈曲の不良アライメント
- 不良アライメントでの頸部の運動
胸椎~腰椎
チェックする運動
四つ這いでの
- 屈曲
- 伸展
- 側屈
- 回旋
みるポイント
- 屈曲伸展→全体的に動いているか、固定部位と過剰運動部位をみる
- 側屈→胸椎から側屈できているか
- 回旋→胸椎から回旋できているか
骨盤
チェックする運動
- 前傾
- 後傾
- 挙上
- 下制
みるポイント
- 前傾・後傾→腰椎よりも優位に腸骨と仙骨が動くか
- 挙上・下制→下制できないパターンが多い
まとめ
姿勢分析から呼吸、動きの評価(全体と局所)をお伝えしていきました。
動きから得られる情報を逃さず見極め、そこからどんなことが予測されるか考えられるかが、評価をした上での運動を提供できるかにつながります。
ではでは~^^
引用
吉田さんのnoteはコチラ
https://note.com/pt7/n/n16f81f1d0a29
筋膜の教科書はコチラ
統合的運動生成概念の教科書はコチラ