移動範囲と移動頻度という視点をリハビリに
みなさんこんにちは前回は、長距離の移動及び多様性や新規性のある移動は幸福感につながるということについてお伝えしました。今回は移動に関連して、リハビリと移動の関連性についてお伝えしていきたいと思います。今回のコラムは
- 理学療法士
- 在宅領域に従事する人
- 回復期リハ病院に従事する人
E-SAS
それではやっていきましょうちなみに今回のコラムはあんどぅさんの記事からの引用です。
ヒトは移動すると幸せを感じるということは、リハビリでいうところの移動できるようにするっていうのは重要なファクターだと感じると思います。リハビリでは、「その人らしい生活を再獲得させる」という目的があると個人的に思っていますが、”その人らしい”は十人十色なので、その人に応じた支援をしていくことが必要です。しかし、この移動が人を幸せにするという人が誰しも感じる幸福感を獲得させるという視点もあってもいいのかなと思います。また、その人らしい生活を目指していく中で”移動”は密接に関わってくるという風に考えています。
EーSAS(Elderly Status Assessment Set)っていう評価バッテリーがあります。
これは理学療法士協会が開発した「高齢者のイキイキとした地域生活づくり」を支援する評価バッテリーです。この評価バッテリーは、介護予防事業「運動器の機能向上」の効果を、筋力やバランスといった運動機能のみによって評価するのではなく、高齢者が活動的な地域生活の営みを獲得できたか、という視点から評価することを狙った評価バッテリーです。つまり、その人らしい生活を送っているかということを客観的に評価できるということです。この評価バッテリー全く知りませんでしたが、平成17~19年度の間に開発されているため、2008年くらいから存在しているということですね。お恥ずかしい。
E-SASの評価項目
EーSASは6つの評価項目から成り立っています。
- 生活のひろがり
- 転ばない自信
- 入浴動作
- 歩くチカラ(TUG)
- 休まず歩ける距離
- 人とのつながり
わかりやすく説明すると
- 生活のひろがり▶︎行動範囲・行動頻度(移動範囲と移動頻度)
- 転ばない自信▶︎自己効力感(セルフエフィカシー self-efficacy)
- 入浴動作▶︎日常生活で最も難易度の高い動作
- 歩くチカラ▶︎歩行能力評価で最も簡便で有効
- 休まず歩ける距離▶︎基礎体力に関わる歩行パフォーマンス
- 人とのつながり▶︎親しい人(なんでも話せる・助けを求めることができる家族or友人)がどれだけいるか
Life-space Assessment
ここで着目したいのは、生活のひろがりです。これってモロに移動を評価していると思います。実際の評価内容がこちら
Life-space Assessment(生活空間)
http://jspt.japanpt.or.jp/esas/pdf/e-sas-s-hyouka.pdf
もちろん入院中は評価できませんが、退院後の生活を「どこまで生活範囲・生活頻度を拡大できるか」という視点を持ってリハビリしていくことは重要だと考えます。回復期のリハビリでは、どうすれば生活できるようになるかを考えると思います。もちろんそれはとても大事なことですが、同じくらいその人の退院後の生活のひろがりが大事だということが移動は幸福につながるということからわかります。
また個人的にこの生活のひろがりに関連する項目は人とのつながりだと思います。もちろん、移動するためにはEーSASの評価項目の中にもある歩くチカラや転ばない自信や休まず歩ける距離なども必要ですが、必ず必要という訳ではないと思います。歩けなくても、転ばない自信がなくても、休まず歩ける距離が短くても、人とのつながりで解決できます。助けを求めることができるような人とのつながりがあれば、生活のひろがりを拡大していくことが可能です。
例えば、全く自分では歩けない人でも、車椅子に乗せてくれる人がいて車椅子を押してくれる人がいて、車椅子ごと乗れる車などの移動手段があれば生活のひろがりを拡大できます。これを自然に行なっているのが、デイサービスやデイケアです。私は、通所リハビリ施設での勤務経験もあるのですが、利用者の方は、車椅子の方でも車から降りて施設に来るだけで既に幸せそうな表情をしていました。そこには、利用者、運転手、送迎スタッフ、施設職員、看護師、リハビリスタッフさまざまな人がいます。デイサービスに行くいうだけで、生活のひろがりと人とのつながりの2つの項目が達成されます。
何が言いたかったかというと、人とのつながりが生活のひろがりを拡大できるということです。そして生活のひろがりを拡大するために、身体機能にアプローチするのはもちろんのこと。人とのつながりに対してもアプローチすることでその人の退院後の生活の幸福感に寄与できると考えます。家族構成はカルテで確認していると思いますが、友人がどこにどれだけ聞いてみるのもいいかもしれません。家族との関係性も聞いていくと手助けを求めることができる人がいるかもしれません。人とのつながりが気薄な人には、まずは人とのつながりをつくってあげることが退院後の生活のひろがりを拡大することになり、その人らしい生活の実現に近づけると思います。
まとめ
まとめると
- 生活のひろがり(移動範囲・移動頻度)は幸福感につながる
- 生活のひろがりの拡大は、自身の移動能力が低くても、人とのつながりが解決してくれる。
- 生活のひろがりと人とのつながりはその人らしい生活を実現する上でめちゃくちゃ重要
私もまだまだ未熟ですが、少しでもその人らしい生活を実現するために価値提供していきたいと思います。
ではでは^^