移動するだけで幸せになれる?ヒトと移動の本質
みなさんこんにちは。今回は、健康に役立つ豆知識を科学的根拠を交えてお伝えしていきます。このコラムは
- 健康について意識し始めた人
- 健康になるためにどうすればいいかわからない人
- 世の中の原理原則が好きな人
それではやっていきましょう
移動が幸福感を生み出す
2020年にこんな論文が発表されました。
というような論文です。これって結構皆さんなんとなく感じていたことだと思います。例えば、「旅行にいくと幸せな気分になる」「散歩したあとは気分がスッキリする」まさにこのような日頃感じていたことの科学的根拠が発表されたと言う感じです。
私は、医療職であることから常に”根拠はあるのか”ということを考えてしまうのですが、今回のこの論文はそんな日頃の疑問を科学的根拠をもってして説明できるのでこういう研究結果は非常に興味深いです。皆さんは「へーそうなんだ。じゃあ心掛けてみようかな」と思っていただければ幸いです。
幸福感が得られる移動とは?
具体的にどんな移動をすれば幸福感を得られるのかお伝えします。
「できるだけ長い距離かつ多様性と新規性がある移動ほど幸福感を感じる」
つまり、新しい土地へいろんな道のりを経て長い距離を移動する旅行は最も幸福感を感じる移動ということです。どうりで旅行って幸せになるんだなと改めて。私自身もよく旅行にいくと行く間の道中が楽しいとよく言っているのですが、気のせいではなく科学的に根拠のあることだったんですね。
移動から快楽を得られる仕組みは、人類の歴史からも妥当であることが考えられ、人類は長い間非定住の狩猟生活を送っていました。このような生活を送るにあたり、モチベーションの増加に寄与していたと考えられます。
幸福感を感じる原理
次にどのように幸福感を感じているのかというと
「記憶を司る海馬と快楽を司る線条体が連携して活動して幸福感を感じる」ということです。脳が、現在行なっている移動を過去の記憶と照合し、その移動に多様性と新規性が高い場合にご褒美として快楽を与えていることを意味します。
いわゆる”報酬系が回る”ということですね。報酬系についてはまた別のコラムでお伝えしたいと思います。さらに研究では、前日に感じていた幸福感の高い人ほど、次の日の移動の多様性と新規性を高くする傾向があることがわかっています。つまり、移動によって幸福感が高まり、その幸福をまた得ようとさらに移動を繰り返すという幸福のスパイラルが生まれるということです。
これは報酬系を勉強すればわかることですが、一度報酬系が回ると、報酬系は回りやすくなりもっと報酬系が回るようにするという働きがあります。例えですが、ギャンブルなんかを想像するとわかりやすいですね。ギャンブルは一度勝ってしまうと、その時の快楽を求めて、何度も何度もギャンブルをやってしまい、最後には、お金がなくなってもやり続けてしまう。ギャンブルの場合は報酬系が回りすぎてしまうのはよくないですが、快楽を感じるために移動がどんどん増えるのは悪いことではないですよね。
移動とコロナの関係
現在はコロナ禍であり、移動の制限がされていますが、これはもろに幸福感の低下を招いていると推測されます。移動の制限を否定している訳ではありませんが、このように移動が幸福感につながっているということを知っていれば、このコロナ禍で気分が落ち込んでしまうという理由も明らかですよね。コロナ禍で少し気分が落ち込みがちという人は、近所でいいのでまずは散歩から始めるのはどうでしょうか。移動の制限は感染対策上厳守することではありますが、健康維持のために近所を散歩するのは、禁止されている訳ではありません。皆さんの心の健康のために今日から少しずつ散歩という移動を始めてみてはいかがでしょうか。
ではでは^^