統合的運動生成概念 #4
みなさんこんにちは
前回は角運動量保存則までお伝えしましたね
今日は神経という名の細胞からやっていきます
このコラムは
- 理学療法士
- ピラティスインストラクター
- 運動指導に関わっている人
それではやっていきましょう
神経という名の細胞
神経細胞
人の組織は4種類に分けられる
- 上皮組織(焼肉などの内臓、
- 筋組織
- 結合組織
- 神経組織(神経と皮膚などの外胚葉由来)
人は60兆個の細胞でできている
大脳皮質=200億個の神経細胞
まずは神経細胞(ニューロン)について見ていきましょう
軸索は一つのニューロンに一つあります。
この軸索が電気を流します(=活動電位)
神経細胞はシンプルに全か無かの法則に従っている(チャネルを開くか開かないか)
臨床的にはどうやって、この神経細胞に電気を流すかが重要となる
この神経細胞の役割を体験してみましょう
二人一組になって、向き合います。
片方の人は、目を瞑って両手を自分の膝の上に置きます。
もう片方の人が、右か左かどちらかの手に自分の手をかざします。
目を瞑っている人は、左右どちらの手に手がかざされているか当ててください。
どうですか、なぜかかざされている手が分かりますよね。なんでかというと、シンプルに脳まで電気がいったってことです。後々、詳しくお伝えしますが、人の持つ電磁力が神経細胞によって伝わったということ。当たり前ですが、直接触ると触覚の感覚の電気も伝わりますのですぐにどちらの手を触られたか分かりますよね。つまり何が言いたいかというと、神経細胞によって情報の処理と伝達が行われているということです。
また、「触る」=莫大な量の電気が脳まで伝わっているということ
臨床現場での「触る」をもっと真摯に考える必要があります。
時間的加重と空間的加重
そして今の体験から、神経細胞に電気を流すために必要な要素が2つあることがわかります。
- 時間的加重
- 空間的加重
1つ目は時間的加重
手をかざされたとき、すぐには左右どちらの手がかざされているかわからなかったと思いますが、時間が経つにつれてわかってきたと思います。これは、時間をかければかけるほど電気が流れる量が増えていって、最終的に閾値に達することで、活動電位が流れたってことです。臨床的に考えると、閾値に達するまでなるべく長時間電気を流し続ければ活動電位が流れ、情報処理と情報伝達できるってことです。
2つ目は空間的加重
これはわかりやすいですが、活動電位を流すためには、できるだけ多くの場所に電気を流すことが重要です。手をかざすだけよりも直接触った方が活動電位は流れやすいです。臨床的に考えると、できるだけ身体に接触することで、多くの場所から電気を流すことができ、閾値に達し活動電位が流れ、情報処理と伝達されます。
神経細胞は情報を伝達する際、神経細胞の神経終末と他の神経細胞や樹状突起に接続することをシナプスという。このシナプスの数によって情報伝達の質が変わってくる。当然接続が少ない方が、情報処理は速く正確に伝わる。反対に接続が多いと、時間がかかるし情報が正確に伝わりづらい。このシナプスの数によって、単シナプスと多シナプスとで分かれており、後々重要になってきます。
一つのニューロンにはおよそ1万~2万のシナプスがあるとされており、大脳皮質の神経細胞だけで考えても、200億×1万ものシナプスがされており、天文学的な数のネットワークが脳には張り巡らされているということになります。
神経細胞が運動にどのように関わっているのかお伝えしていきます
脳の無い動物はどうやって動く?
感覚と運動
まずは体験です。
まずは、FFD(立位前屈)を行なって、FFDの感覚を確かめてください。指と床がどれくらいの距離か、身体の張り具合はどうか確認します。
二人一組になって、片方の人が相手の右手の人差し指の爪と左手の薬指の爪を優しくそっと触れてください。大体30秒くらいふれてください。
再度FFDを行います。
どうですか、最初よりFFDがやりやすくなったのではないでしょうか。これは、感覚が運動を変えたということです。ここでは、運動は感覚によって変えられるということを押さえておけばバッチリです。
感覚と運動についてお伝えしていきます。
みなさん運動ニューロンはご存知ですか。理学療法士の方なら当たり前ですよね。運動ニューロンは、α運動ニューロンと呼ばれています。では、感覚ニューロンはなんて呼ばれるかご存知ですか?これは私も初めて知ったのですが、感覚ニューロンにも名前があります。
- 感覚神経=偽単極性ニューロン
- 感覚受容器=「偽単極性ニューロン」の先端
- 運動神経(α運動ニューロン)はその名の通り、運動の情報が伝達します。
- 感覚神経(偽単極性ニューロン)もその名の通り、感覚の情報が伝達します。
感覚には、表在感覚・深部感覚などの体性感覚、前庭感覚、視覚などの特殊感覚があります。
感覚とは、「外力」を電気変換したものです。外力を偽単極性ニューロンの先端である感覚受容器に入力され、偽単極性ニューロンによって電気変換されたものです。つまり感覚入力とは、偽単極性ニューロンに外力を加え、活動電位を流すことです。
そして、特筆すべきは運動ニューロンと感覚ニューロンの数の違いです。結論からいうと、感覚ニューロンの方が運動ニューロンより数が多いです。
例を出すと、上腕二頭筋には774個の運動ニューロンがあります。指の腹には、1cm2辺り300個の偽単極性ニューロンがあります。このことから、いかに感覚が身体にとって重要かがうかがえます。
次は末梢神経の構造についてみていきます。
末梢神経の構造
神経は、神経上膜・神経周膜・神経内膜というような膜に包まれています。筋肉も、深筋膜・浅筋膜・筋上膜・筋週膜・筋内膜というような膜に包まれています。膜は結合組織のため、神経も筋肉も結合組織に包まれているということになります。
つまり結合組織の状態によって、神経と筋肉の振る舞いが変わるということです。また、結合組織を介して、神経系へのアプローチが可能ということです。具体的には、神経周囲の結合組織の状態を整えるということで可能です。
運動ニューロンと感覚ニューロンは、脊髄の神経根から出入りしており、ベルマジャンディの法則に則り、運動ニューロンと感覚ニューロンが合体しているところもあります。また、脊髄から出入りしている末梢神経は背中側~お腹側まで張り巡らされています。
よく、坐骨神経痛という言葉を聞いたことがあると思いますが、坐骨神経はお尻~大腿にかけての感覚を電気変換している神経のことで、神経が管轄する場所に名前をつけているのです。
つまり、皮膚分節は、偽単極性ニューロンの分布図であると言えます。
これと同じように自律神経も交感神経と副交感神経神経とで出入りする場所が決まっています。交感神経は、C8~L2レベルの随節レベルから出入りしています。副交感神経は、脳幹とS2~4レベルの髄節レベルから出入りしています。
これは、自律神経についても、結合組織を介して介入ができるということです。
交感神経の働きを高めたかったら、C8~L2レベルの結合組織の状態を改善させ、副交感神経の働きを高めたかったら、脳幹レベルとS2~4レベルの結合組織の状態を改善させることで、介入が可能です。
まとめると、最初の爪をふれただけでFFDが変化したのは、触れるという外力が偽単極性ニューロンによって電気変換され、情報が伝達・処理された結果、神経周囲の結合組織が整い、円滑に神経伝達が行われた結果、身体の振る舞いが変化したということです。
少し話がバラバラでつながってこないと感じると思いますが、徐々に話が繋がってきますので、ぜひ次回のコラムもご覧ください。
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