統合的運動生成概念 #舟波先生が2021年の臨床を振り返る
M1グランプリの話
冒頭は、M1グランプリの芸人さんのネタを舟波さんがみて、舟波さんの独断と偏見で点数をつけた話をしてくださいました。
はじめは、視聴している人も少なかったため、雑談かなと思いなんとなく聞いていたのですが。最終的には臨床に関連したお話でした。
結論からいうと、芸人さんのネタをテレビの前の人が独断と偏見で面白い・つまらないと決めるのと同じように、臨床現場でもセラピストの臨床の評価を患者さんの独断と偏見で好き・嫌いを決めるということです。
芸人さんが、日々お客さんを笑わすために試行錯誤するように、私たちセラピストもプロとして患者さんやクライアントを笑顔にするために試行錯誤していくべきだということを舟波さんはおっしゃっていました。
独断と偏見で決まるため、この患者さんは好きと言ってくれるけど、この患者さんは嫌いに感じてるというようなことがあります。これは当たり前のことで、その人その人で違う人間なのだから、好き嫌いの好みは当然違うし、同じように体の構造や身体の動きも全く違います。まったく違うのだから当たり前に毎回どんな人なのか身体機能とキャラクターを評価した上で治療を行うのがプロとしての振る舞いであるべきだと。
舟波先生が伝えたかったことは、芸人さんも我々セラピストも一緒で、
目の前の人を笑顔にできるかどうか
日々笑顔にするための行動を送っているかを改めて確認するべきということ。芸人さんは売れるか売れないかのため、日々血の滲むような取り組みをしています。保険内診療で働いているとどんなリハビリを提供しても、決まった金額を患者さんから頂くことになります。そのため、リハビリのクオリティをどれだけ上げても同じ金額ですし、反対にどんなひどいリハビリを提供しても同じ金額です。
もちろんクオリティを上げるだけが全てではないですが、クオリティが高いに越したことはありません。現状に満足せず、より良いリハビリを提供するために日々模索し、患者さんと向き合っていきます。
舟波さんのバイ二アプローチセンターは自費リハビリです。自費リハビリは病院やクリニック通ったり色々やってきた中で最後に自費リハビリに来る人が多いそうです。
そんな人達に”きてよかった”って言ってもらえるようにするめにはどうしたらいいか
どんな手段を使っても”価値を提供する”。しなければならないとおっしゃっており、プロとしての覚悟を改めて感じました。
痛みのストーリーを作る
臨床でよく遭遇する「痛み」についてです。
当たり前ですが、「問診」が重要になってきます。
問診である程度患者さんの報酬系を回していく。ここで報酬系を回せるかでその後の治療展開が決まっていくと言っても過言でもないです。
問診
↓
動作評価
↓
理学所見
※治療前に説明と同意を行う。
痛みの治療で大事なのは、
なぜその問題が起きたのか、ストーリーを作る、導く
というのが最も重要
このストーリーをもとに説明することで患者さんの納得が得られる。つまり報酬系が回るということ。
患者さんの口癖「なんで痛いんですかね?」に対して、こちらがストーリーを提案する。「わからない」と言ったら患者さんはがっくりしてしまいます。ある程度自信持って説明してしまってもいい。
さらに
画像所見と痛みは必ずしも相関しない
ということも伝えることが大事。
どんなにチープな物語でも構わないから物語を作れるようにする。
ストーリーを作ることでセラピストの心理的安定(自信)にもつながる
ストーリーに向かって治療していくことが大事
痛みと神経系
「神経系は一つのユニット」
下肢の痛みだから下肢の神経に原因があるわけではなく、神経系はひとつのユニットで捉え、必ず身体全体で見ていく視点が必要です。
痛い=そこに神経がある。
→どのレベルで痛みをブロックしていくか。神経の繋がりの中で。
神経・血管系のダイナミクスが本当に本当に大事だなと舟波先生はより感じるとのこと。
脳・手は感覚神経が密であるから、下肢の疾患でもみるべき。
脊髄は伸張性があり、脊柱の動きに応じて伸び縮みします。そのため、ある程度頭頸部から神経のスライドをつくったら、ヘッドアップ→カールアップさせて、頭頸部~尾骨までついている脊髄のスライドを作ってあげるところまで行うことも必要です。。抵抗がなければ動かせるところまで動かしてもいい
きっちり神経の硬さを取り切ってスライドを出すところまで治療を行えるかが大事。
問題点を問題点として立ち止まれる勇気
続いては、神経のスライドの重要性を症例を通してお話ししていただきました。
ケースレポート
問診
症例情報
60代女性 後縦靭帯骨化症と診断された
2020年1月左手第3指が痺れてきたから2月に整形外科に行ったら、初期ですと言われ、
段々痺れが強くなってきた。
ヨガと散歩とゴルフをしていた。よくゴルフをしていた。回旋系の首に負担のかかるものはやめてくださいと言われた。
家にいる時間が増えた。安静にしてくださいと言われるから。
薬をもらう。末梢にも中枢にも効くリリカをもらう。タリージェ?パリージェ?をもらう。第一三共さんの 加工性疼痛抑制機構を促通するもの。
それでも効かない。何もせず、余計痺れてきた。
5月20日にバイニセンターにきた。
オペ歴、外傷、内科的疾患、転倒転落、小さい頃のエピソードを聴取
理学所見
特異的な所見はみられなかった
神経レベルの感覚と筋力も問題なかった
頭頸部の抵抗感が全然なかった(後縦靭帯骨化症チックな)
本当に診断名なの?と思うくらい
ストレートネックっぽい感じはあった。
結合組織性の硬さはあった
評価した結果
結合組織性の硬さ、スライドの無さが原因ではないかとストーリーを導出した
治療はいつも通りの流れで全身のスライドの無さを取っていく
合計6回治療した。
治療後
むしろ動いた方が滑りが出てこないし、高負荷なものはやっていないんだから、徐々にやっていきましょうよとご提案した。
「ゴルフ久々にやって楽しかった」
→セロトニンの下行性疼痛抑制機構賦活されるからどんどん痛みは減っていく
”見えすぎるというのも一つの問題点”
→見えるのはいいことだけど、その人は整形外科行かなきゃ普通に整形外科行ってたはず。今回は早期に受診して、画像所見で見えすぎてしまったために早期に診断を受けて、それに伴う活動量の低下を引き起こし症状が助長してしまっていた
薬で管理するのもいいことではあるけど、薬が作用するってことは反作用するってこと
薬がなくても痛みをコントロールできるようにするのが我々の役割
痛みを誘発する問題「血流」
神経と血管は同じところ通っている
神経と血管どっちかが良くなくても痛み出る
LCSも静脈のうっ血が原因
血の流れを見るのが大事
ケースレポート2
問診
70代男性
歯医者さん行って痛み止めの麻酔が効きすぎて、呼吸が苦しくなってきた。そしたら、両足の足底が痺れて、そこから痺れが取れない。
理学所見
70代男性
歯医者さん行って痛み止めが効きすぎて、呼吸が苦しくなってきた。そしたら、両足の足底が痺れて、そこから痺れが取れない。
アルゴリズムに則って神経のスライドを改善させても良くならなかった。あんまり改善しなかった。
→違う手を考えなければ。
「麻酔をした」がキーになる
呼吸に問題が起きたんじゃないか?
呼吸が浅くなると本当に大変。
胸腔内が陰圧=肺もあるし心臓もある
吸われるってことは静脈が吸われて循環する
うっ血して血の流れが悪くなると痺れる
胸腔への静脈環流に関わる
口すぼめ呼吸をやった
→痺れが楽になった。しっかり血が吸われて循環したってこと
自主トレでうつ伏せと口すぼめをやってもらうとだいぶ症状は改善した。
腹圧と内臓
よくぽっこりお腹というワードを聞いたことがある人はいると思いますが、具体的には
ぽっこりお腹=落下腸やねじれ腸
→上行結腸下行結腸がぶら下がってしまう
という状態です。本来の位置より内臓の位置が下に下がってしまっています。
しかし、逆立ちすると元の位置に戻る
腹圧が下がって後腹膜のテンションが保たれていない。
落下腸になるとS状結腸が右に変位して右側に寄っていくから右の股関節の制限につながる。
だから重力を利用して、正常な位置に戻してあげる。
オナラが頻繁に出る人はガスが溜まっている状態のため、内臓の機能が低下している可能性がある。綺麗にうまく排出されていない証拠。
腹圧を高めることで内臓の機能も正常化することができる
踵痛くなる人結構多い
加齢で脂肪層がビョーンとずれちゃう。踵骨の骨膜刺激で痛くなる人結構います。
足底版で解決。乗った瞬間に痛みが消える