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統合的運動生成概念 #3

はやた
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みなさんこんにちは

前回は身体心理学と人の形についてお伝えしてきました。

統合的運動生成概念 #2 みなさんこんにちは 前回は統合的運動生成概念の導入部分についてお伝えしてきました。 https://nalu-pilate...

今回は結合組織のつながりについてみていきましょう

Fascia(結合組織)

結合組織ってみなさん知っていますか。

簡単にいうと、組織同士をつないでいる組織のことです。

ここでがそんな認識で大丈夫です。

結合組織の代表的なものは「膜」です。

筋肉を例に出すと、筋上膜、筋内膜、筋周膜、浅筋膜、深筋膜、、、などなどです。

今筋肉を例に色んな名前の結合組織が出てきましたが、ぶっちゃけいうとこの名前はどうでもいいんです。

結合組織がどういうつながりの構造であるかを理解することの方が臨床では大事です。

図や写真

続いて、支帯と靭帯について一度おさらいします。

  • 支帯:中に主要な神経・血管・腱が入っている
  • 靭帯:中に主要な神経・血管・腱が入っていない

支帯と靭帯の違いは、神経・血管・腱が中に入っているか入っていないかなんです。その違いで支帯と呼ぶか靭帯と呼ぶかが決まります。

このことからも名前はどうでもいいことがわかります。

重要なのは、どういうつながりをしているかを理解することです。

なので、名前を覚えるより3Dで理解することが臨床に生かすために必要なことです。

次は動きの中での結合組織をみていきます

竹をイメージしてください

竹はしなります。しなることでどんなに横に傾こうとも竹は倒れないようになっていますよね。しなることでストレスを一箇所に集中させるのではなく、分散させることができます。

人の動きではどうですか、例えばバレーのスパイクを打つ時の空中姿勢、ゴルフのスイングのうち終わり、これらの動きに共通している点はアーク構造(弓なり構造)です。弓なりになることで力の伝達がスムーズに伝わるようになっています。

これを臨床的に考えると、

「動かないところがあると、そうじゃない動きすぎているところ(過可動性・不安定性)に障害が起きる」

可動要求の高まりが局所の障害を引き起こしているということです。

この場合は、休むと楽になったり、動けば動くほど痛くなるという疼痛パターンになることが多いです。

つまり、症状が出ているところは本質的な原因ではないことが多いということです。

こんな研究もあります。

肩関節制限がある人は腰痛リスクが高くなるという研究です。

これは、肩関節制限を腰椎伸展の代償で動作を行った結果、腰椎が過可動性になり痛みが生じるということです。

このように、「固定部位が存在すると過剰運動部位が生じ、関節不安定性により疼痛が出現する」ということです。

もう少し固定部位と過剰運動部位についてみていきます。

基本的に動きがない固定部位は硬くなります。

そして、物体は硬い方に引っ張られます。短縮筋と伸張筋で考えるとイメージしやすいですかね。

側弯や円背姿勢で考えると、側弯の場合、短縮側は固定部位になり、伸張側は過剰運動部位になります。円背の場合、胸郭前面が固定部位になり、胸椎が過剰運動部位になります。

つまり、組織の硬さが姿勢にも影響していくるということです。これはなんとなくわかると思いますが。

まとめると、

結合組織によって身体は全てつながっており、組織の中で固定部位が存在すると、過剰運動部位を生じさせ、それが関節不安定性となり障害が起こるため、結合組織のつながりを理解した上で、固定部位つまり硬さを改善させることが重要ということです。

慣性モーメントの話

慣性(Inertia)モーメント

→回転開始しづらさ、回転の止まりづらさ

もっと簡単にいうと、扱いづらさ指数、大変指数です。

慣性モーメントは低い方がいいです。

慣性モーメントが小さいと物体を動かすために少ないエネルギーで済みます。

逆に慣性モーメントが高いと物体を動かすためにたくさんのエネルギーを作ります。

この慣性モーメントは計算で算出できます。

慣性(Inertia)モーメント=質量(m)× 半径(r)2

この公式を臨床に落とし込むと、半径を小さくしたほうが楽に動ける(=胸郭・足部・骨盤・脊柱は細かく動けるようにしておこう)ということです。

一体どういうことなのか体験してみましょう。

まず一つ目の体験は、歩き方の違いで楽に歩けるか体験します。

はじめは、普段通りの歩き方で歩いてみてください。

次は、膝を伸ばした状態で歩いてください。

どちらの方が歩きやすかったですか?

当然普段通りの歩き方ですよね。

膝を伸ばして歩くと、股関節からの脚の長さを考えたときに股関節から足首までの一直線が脚の長さになります。つまり股関節から足首までが半径の長さになります。

普通に歩くときは、膝関節も動くため、股関節から膝、膝から足首というように先ほどの半径の長さの半分の長さが半径になります。

半径の長さが半分になるとどれだけ慣性モーメントが小さくなるか数字で見てみましょう

仮に脚の重さを10kgとします。股関節から足首までも50cm、股関節から膝関節まで25cmとします。

普通に歩いた場合の脚の慣性モーメントは、

慣性モーメント=10 × 252

           =6250

膝を伸ばして歩いた場合の脚の慣性モーメントは、

慣性モーメント=10 × 502

           =25000

膝を伸ばして歩くと、普通に歩いた時の4倍の慣性モーメントが生じます。

ただ膝を伸ばしただけで4倍も歩きにくくなるということです。

このことから、一見塊に見える胸郭・骨盤・足部の骨ひとつひとつの動きがある方が、半径が小さくなり、慣性モーメントを小さくすることができ、動きやすい体になるということです。

慣性モーメントを大きくして歩いて体験してみましょう

まずは普通に歩きます。

次は腕を胸郭に押し付けて歩いてみましょう(胸郭の慣性モーメントを大きくして歩く)

どちらの方が歩きやすいですかね。当然普通に歩いた方が歩きやすいですよね。

このように慣性モーメントをなるべく小さくすることが、動きやすい身体を小さくするために重要です。

角運動量保存則について

まず角運動量(回転運動)の公式は

角運動量=慣性モーメント×角速度  

    =質量×半径×角速度

フィギアスケートのスピンを思い浮かべてください。

スピンをしている選手は、手を縮めると回転の速さが速くなります。逆に手を伸ばすと回転は遅くなります。

これは、手の伸び縮みによって半径が小さくなったり大きくなったりするのに伴い、角速度が変化するためです。

体操の宙返りでも同じことが言えますね。

宙返りのときに体を小さく(半径を小さく)することで回転スピードを上げています。

つまり、体操選手は小柄な方が回転半径が小さくなり、回転スピードを上げることができます。

身近な動作で考えます。

身体を定位させ安定した動作を保障するためには、角運動量をどれだけゼロに相殺できるかがカギとなります。

歩行では、立脚期の骨盤回旋という角運動量に対して胸郭での反対側への回旋という角運動量が起こることで、2つの角運動量が相殺され、身体を定位させ安定した動作を保障することができます。

まとめると、

ヒトの身体では半径が大きくなる(固定部位が存在)と動きにくくなり、過剰運動部位を生み出す原因になります。

さらには、2つの角運動を相殺させ、身体を安定させるためにも回転半径を増大させるか角速度を早める必要があり、回転軸となる部位にはストレスがかかるため、固定部位をなくすことが円滑な動作には必要であるということです。

最後に角運動を実際に体験してみましょう

回転する椅子に腰掛け手を組んで前に伸ばし上半身を素早く回転させてみてください。

体幹の回旋とは反対に骨盤・下肢が勝手に動いてしまうと思います。

これはどこか一ヶ所の回転運動で物体全体が回転しないように(物体を定位させるために)どこかの回転運動が起きるためです。

このことから、体幹を定位させるために身体の至る所の運動性が必要ってことですね。

固有振動数(固有振動モード)

=揺れやすさ指数、リズミカルに揺らしたときの反応、どれくらいのテンポで揺らすとよく揺れるか

物体は、固有振動数で揺らすと楽に動かせる

→人も一緒。人体にも固有振動数がある

構造自体が既に運動を規定

→人は構造から既に”歩く”という根源的な運動に最適化されたデザインとなっている

つまり、構造を変えれば、構造にアプローチできれば運動パターンは変えられる。

今日はここまで

ではでは^^

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