PHI Pilates JAPAN FESTA 2021 #3包括的アプローチと感覚運動科学
みなさんこんにちは
前回は包括的アプローチに必要な業種間連携と網羅的な指導についてお伝えしました
網羅的指導の中でも心理的側面が重要であること。心理的側面を考慮したアプローチと評価方法までお伝えしました。今回はその続きからお伝えしていきます。
このコラムは
医療従事者
ピラティスインストラクター
パーソナルトレーナー
それではやっていきましょう
・プロテインを食事の代替として取り入れるのはあまりよくない。
→腸内細菌的によくない。腸内細菌の多様性が失われてしまう。(=迷走神経の働きが低下)
プロテイン自体は悪くないけど、食の多様性が失われてしまう。
あくまで補助的なポジション。食の代替にはなり得ない。
食事は栄養バランスが取れていればそれでいいわけではない。
腸内細菌を考慮すると色々なものを食べた方が良い。
私自身も、栄養素だけで食事内容を考えていたため、この腸内細菌という視点は欠けていたなと反省。
よく野菜だけとか、サラダチキンだけとか最近は、これを食べれば大丈夫と思い込んでいる人が多い気がする。
改めて、多様性の重要性を確認しました。
・クライアントに説明をするときに主観的な評価だけで話し合うのはあまりよくない。主観に左右されすぎると、本当に効果のある治療なのにクライアントが受け入れてくれない場合がある。
客観的な数値を示して、ある種説得力高く伝えることができるか。
これは、人に関わる仕事全てに言えることですね。
どこまでクライアントに伝えられるか。「伝える」ことは日々の臨床で意識して取り組んでいきたいですね。
・初回介入で大事にしていること
問診は予約時に事前に入力してもらい、事前に確認しあらかじめ主訴を抽象化しておく
最初のエクササイズはそんなんに変わったことはしない。
決まったプログラムをやってそこから細かく見ていく。
ご褒美がない状態で運動をルーティン化するのはハードルが高い。
まずはご褒美をクライアントにあげて、効果を実感してもらう。
そして将来的に主訴が解決するまでの具体的な期間を伝える。
また、主観的な変化よりも客観的な変化の方が早く出るということを伝える。
効果を実感するまでに時間がかかることを理解してもらう
・プライマリケアの範疇を超えた場合は専門家に任せること
範疇を超える前にプライマリケアを行い症状の重症化を防いでいく。
レッドフラッグの見極めは大事。
・ストレス管理の中に感覚統合の話が出てくる
・危険と思わせない状況を作り出す
・栄養、感覚統合、行動療法、指導法とかプランの立て方は二の次で、まずは指導内容ができてからの話
続いて、2日目の内容になります。
2日目は、感覚運動科学を応用したボディワークです。
感覚運動システムとは
入力→統合→出力
この一連の流れのこと
これは統合的運動生成概念に近い考え方で個人的にはとてもスッと内容が入ってきました。
詳しく見ていくと、
感覚は大きく3つ(視覚・前庭感覚・体性(固有)感覚)に分けられる
- 視覚=対象物を捉える
- 前庭感覚=移動を捉える
- 体性感覚=身体を捉える
環境から感覚が入力され、入力された感覚を統合することで状況を把握する。
状況が安全か安全じゃないかで運動が変化する。
状況に応じた運動を企画する。
運動を企画したらどんな運動パターンで動くか調整が行われ、最終的に、四肢体幹の筋収縮及び関節運動が起こり、運動が生成される。
これが感覚運動システムである。
感覚運動システムの問題
運動指導するときは、この感覚運動システムのどこに問題があるかを見極める必要がある。
- 視覚:対象物が正確に捉えられない
- 前庭感覚:移動が捉えられない
- 体性感覚:身体を捉えられない
処理の遅延、感覚のミスマッチ
- 動作企画:指令の遅延、ミス(前頭葉の機能低下が疑われる)
- 動作パターン:過緊張、正確性・スピードの低下、タイミングの乱れ(大脳基底核や小脳の問題が疑われる)
- 筋収縮・関節運動:可動域の低下、筋出力の低下
運動を円滑に遂行するためには、入力・統合・出力全てが適切に働く必要がある。
例えば、力がずっと抜けない人に結構やりがちなのが、力が入っている筋肉のストレッチをする。
けど、これってストレッチした後は力抜けるけど、すぐに戻るっていう経験したことある人多いんじゃないでしょうか。
これも入力・統合・出力の観点から考えると、わかりやすいです。
おそらく、入力がうまくいってなく、統合した結果、身の安全を確保しようとして、結果的に力が入ってしまうということが予測されます。
なので、この場合、入力or統合に問題があることが多いです。特に入力ですね。
入力をうまくいくようにするだけで力が抜けるケースは少なくありません。
身体の隙間に枕を入れてあげるとかが代表的ですね。
出力のアプローチをしてもうまくいかない場合も入力からアプローチするとうまくいくケースが多いです。
動作パターンの多様性
出力のアプローチでは、筋収縮と関節運動にしかアプローチできておらず、単純にその動作だけが上手くなって、日常生活に汎化されないケースは多いです。
これは動きの多様性が失われていることも原因の一つです。
理想は、無意識にさまざまな運動パターンが出現することです。
動きは同じでも運動パターンが違えば、動員される筋群が変わってきます。
これが動きの多様性です。
なので、可動域も出せるなら出せた方がいいです。いろんな動きのパターンを学習することで、動きの多様性が獲得されていきます。
例えばですが、腰痛があるひとは運動パターンが乏しく、常に同じ運動パターンになるため、負担がかかります。腰痛がない人は、運動パターンが多様にあるので負担が分散されます。動き自体は同じでも、動員される筋群が変わるので負担は減ります。
なので、同じ動きばかり練習してしまうと、動きの多様性を奪ってしまうことになります。
運動はできるだけ多種多様なパターンで行った方がいいです。
理想は色んな動きが無意識に行えること
腰痛の人にまずは、リスクの小さい動きを教えて、一時的に腰痛がでない運動パターンを覚えてもらい、元々の腰痛がよくなってきたら、動きの多様性を獲得させていく。
動きの多様性を獲得することで、練習しなくても、前できなかった動きができるようになる「効果の転換」を狙うのがベスト。
陥りがちなのが、
ピラティスの種目を上手くなるための指導になっていないか
スポーツ選手にしても、方向転換動作が上手くいかない人に、方向転換の練習をいきなりさせるのではなく、前庭感覚の問題を解決してから、動きを鍛えていった方がよくて、方向転換一つととってもそのパターンは多様ある。
・脳は根本的に生存目的で出力をかけているため、生存目的で出力をかけた結果様々な、身体の不調が出ている。
例)頭を打って死ぬより手をついて骨折する方が、生き延びれる
まずは、脳が出している防御反応(安全確保)の状態をチェックすることが大事。
感覚の統合
体の防御反応として出現している緊張は、入力系へのアプローチとして運動を取り入れ、身体所有感と行為主体感を高めることが重要。
なので、運動指導する際は、いきなり出力メインの運動を行うのではなく、何個か入力系の運動を取り入れて、円滑にこの感覚運動システムを循環させる必要はある。
続いて、入力系のアプローチについて詳しく見ていきます。
入力系へのアプローチ
- 皮膚、結合組織、筋肉、腱、靭帯、骨、関節包
- 表在感覚と深部感覚
・入力系のアプローチとして運動を用いることが多い。これはピラティスの得意なフィールド。
出力系のアプローチに見えて、入力系にアプローチしている。
・タッチ
自分で触るのと他者に触ってもらうのとでは、脳の働きが変わってくる。触ってもらった方が、効果的。
皮膚感覚
感じ方も人それぞれ違う。どんな触り方が1番効果的なのか見極める。受けての反応に応じてこちらのタッチの仕方を変えていく。
ディーププレッシャーとライトタッチでどちらの方が変化起きやすいか。
例)タッチの違いで頸部回旋可動域に変化が出るか
食べ物の好みと一緒。感覚入力の好みを知る。
今日はここまで
ではでは^^