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統合的運動生成概念 #1

はやた
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みなさんこんにちは

今回からは、統合的運動生成概念についてお伝えしていきます。

私自身、臨床1年目が終わる頃からこの統合的運動生成概念について知り、2年目のとき実際に講習会に行き学び、臨床に取り入れてきました。

みなさんの臨床の一助になれば幸いです。

このコラムは

こんな人にオススメ

理学療法士

理学療法士学生

運動に携わっている人

それではやっていきましょう

まずは全体像を目次で示しますが、相当な量になります(笑)

終わりが見えませんが、一つ一つ丁寧にお伝えしていきますね。

導入

生体力学

身体心理学

機械工学

Fascia(結合組織)

Fasciaを感じよう

Fascia概要

物理学

ニュートン力学

慣性モーメント

角運動量保存則

内力外力

神経科学

細胞

中枢神経の解剖学

Core-stability

脊髄システム

感覚

身体図式

運動学習

運動生成

COGとCOP

BiNi Theory

「歩行」新訳

左右特異性

まずは、導入からやっていきます。

導入

コペルニクス的転回から運動を捉える

みなさん突然ですが、「手のMP(中手指節)関節を自分の手で触ってください。」

理学療法士や作業療法士の方からしたら、「こんなの簡単だよ、当たり前じゃん」という声が聞こえてきますが、

みなさん触りましたか?

では、みなさんが触ったところを当ててみますね。

恐らく、手のひらのシワのところを触っているのではないでしょうか。

それでは、答え合わせです。

今手のひら側を見てると思いますが、手を横から見てみてください。

その横から見た状態でMP関節を動かしてみましょう。

どうですか?先程触っていただいた手のひらのシワのところから動いていますか?

きっと、そのしわよりちょっと下のところから動いてませんか

横から見るとわかると思いますが、手の甲の骨の出っ張りがありますね。

そのあたりがMP関節なのです。

手のひら側から見るとしわがMP関節だと思ってしまいますが、

横から見ると、全然違ったということです。

これって「認知バイアス」(=大脳皮質のクセ)が関与しています。

認知バイアスとは、知っていることでしか物事を考えられないということです。

この認知バイアスを外すためには、見方・景色・側面を増やすことが必要です。

有名な話で言うと、

このような、今までの常識を覆し、発想や考え方が根本的に変わったことを名前からとって「コペルニクス的転回」といいます。

何が言いたいかというと、「運動」をコペルニクス的転回で捉えるということ。

認知バイアスにかかっている「運動」をいろんな見方をするということ。

「運動」を凝り固まった常識から考えるのではなく、根本的なところを変えて考えていきます。

みなさん目の前のクライアントや患者さんをバイアスがかかった状態で見ていませんか?

一方向から見ているだけでは見えなかった部分が、コペルニクス的転回をすると見えてくるかもしれません。

脳がなくても身体があれば動ける

さてみなさん、「昨日何回寝返りしましたか?」

この問いに正確に答えられる人はなかなかいないと思いますが、なんでですかね?

答えは、”無意識”で寝返りをしているからです。

運動って大脳皮質からの命令がなくてもできるんです

人間の祖先といわれている、「ナメクジオ」

このナメクジオは、脊索しかない生き物です。脊索だけということは勿論脳はありません。

脳はありませんが、ナメクジオは綺麗に泳ぐことができます。

つまり、大脳皮質(意識)って運動するのに絶対必要ではないってことです。

ちなみに、生命が生まれたのが約40億年前ですが、35億年間は「脳」なしで生きてきたそうです。

脳って後発部位なんです。

”脳がなくても身体があれば動ける”

「運動と意識を切り離す」

この言葉は講習会の1番最初に聞く言葉でした。

この言葉は、普段の臨床で「お尻の筋肉を意識して」「つま先引っかからないように意識してつま先あげて」というような声かけをしていた私にとって衝撃的な言葉でした。

みなさんも一度は「ここの筋肉を意識して」といったような声かけをしたことがあるのではないでしょうか。

これまでのリハビリの根幹を覆すような言葉でした。

そして、この言葉を裏付けるのが、

「脳がない動物はたくさんいるが、身体のない脳はいない」

東京大学の池谷教授

言われてみれば、脳がある動物のほうが少ないですし、脳がなきゃ運動ができなかったら、ほとんどの動物は動けないってことになりますよね。

脳のない動物はどうやって動く

それでは、運動はいったいどこからやってくるのでしょうか

脳のない動物はどうやって動くのでしょうか

統合的運動生成概念では運動を以下のように定義しています。

「静的といわれる姿勢も運動であり、神経・筋・結合組織などの身体構成要素の振る舞いが時空間的な環境という文脈の中で自己組織化された「生きている」という生命の動的な秩序である。」

これを見た時、正直難しいなと思いましたが、個人的には「生きている=運動」というように解釈しました。

ここからは運動=生きているという視点から、少しだけ生きていることについて考えていきます。

生命にとって共通の脳幹

まず生命にとって共通なのが、”脳幹”です。

脳幹の役割は、一言で言うと「生命活動の維持に必要な役割」です。

生命維持に必要なエネルギーの話

次に、エネルギーの話です。

当たり前ですが、運動するにはエネルギーが必要です。

エネルギーがないと呼吸も止まってしまい、死んでしまいます。

なのでエネルギーの作り方を知らないと「運動」を捉えることはできませんから、エネルギーの作り方を簡単におさらいします。

エネルギーを作る工場:ミトコンドリア

工場のライン:TCA回路

材料:酸素、グルコース

酸素とグルコースは呼吸と摂食・嚥下、循環があってはじめて材料が手に入ります。

この呼吸・摂食・循環あってこその生命活動です。

そして、「生きている」を抽象的に捉えると、

ここまでの内容から考えられることは、生きているって複雑なんだということ。

後々出てきますが、身体って複雑系なんです。

筋肉だけで、運動を説明するのは無理があるんです。なので、臨床を筋肉だけで考えていると絶対うまくいかなくなる時があります。私はそうでした。

概念とは

続いて、概念について説明していきます。

統合的運動生成概念は、いろんな学問から人の運動の共通項を抽出したもの。人間誰しも共通部分のところであるということ。

これから「生きている」共通部分をお伝えしていくということです。

むしろこの共通部分を知らずに「運動」は語れません。

逆にいうとこの運動の概念にさえ基づいていれば、どんな方法でアプローチしてもいいってことです。そう、登山ルートに色んなルートがあるように、目指す場所は頂で同じところを目指しています。

私たち臨床家も同じです。「目の前の人を笑顔にする」という目的は同じです。方法が違うのは構いません。ただ、この普遍的な部分、共通項の部分、運動という概念を理解した上でアプローチすることが大切です。

運動の普遍的・共通項の部分をこれからお伝えしていきます。



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