PHI Pilates JAPAN FESTA 2021 #2包括的アプローチと感覚運動科学
みなさんこんにちは
PHI Pilates JAPAN FEST 2021から、近藤先生のセミナーの内容についてお伝えしました。
前回は、
プライマリケアには包括的アプローチが重要で、包括的アプローチには業種間連携と網羅的な指導が必要。
網羅的な指導には、知識と経験の幅を広げ、事象に対する抽象化と具体化ができるようにすることが重要。
というところまでお伝えしました。
今回は続きからお伝えしていきます。
今回のコラムは
医療従事者
ピラティスインストラクター
パーソナルトレーナー
それはやっていきましょう
多業種と連携するために必要な条件とは
業種間連携を行うためには、「相手が何をやっているのか知らなければいけない」
餅は餅屋の真意
- 知識で分化しない
- 技術で分業する(餅屋は餅をつくという技術を高めた人たち)
- 運動指導者=目、歯、栄養のことは知らなくていい?
- 栄養士=目、歯、運動のことは知らなくていい?
- 周りの人がやっている領域を最低限知る必要はある
餅屋が何をやっているのか知らないと、連携すらできない。
餅屋なのに米作ってくれと頼んでいるのと一緒。
網羅的な指導
網羅的な指導:運動・栄養・行動・心理・環境
なぜ、運動指導だけでは十分な効果が出ないのか
腰痛の原因は何か?
Biomechanics=バイオメカニクス
→姿勢・動作・衝撃吸収
Physiological=内科学
→呼吸・血液循環・自律神経
Personal=パーソナリティー
→性格・経験・教育
Phychosocial=心理社会的ストレス
→家庭・仕事・学校
Motor Control=モーターコントロール
→皮膚感覚・筋収縮感・関節制御
これらの中に腰痛の明確な原因はなかった
つまり、どこかにに介入することで、全体にいい影響を与えるという観点が大切
モーターコントロールの介入の後に、モーターコントロール以外の評価項目を行うことが大事。全体に好循環の変化が起きているのかを確認することが大事。内科学や心理社会的ストレスが変化するか。
その人を治す=その人のモーターコントロールを治すのが目的ではない
見落とされがちな、心理的側面
スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態のこと
肉体的・精神的ストレスにより、視床下部や脳下垂体から分泌されるホルモンのバランスが崩れると、競技成績だけではなく、疲れやすくなる・全身の倦怠感や睡眠障害・食欲不信・体重の減少・集中力の欠如・安静時の心拍数や血圧の上昇・運動後に安静時の血圧に戻る時間が遅くなるなどの症状がみられる。
特に、起床時の心拍数が増加すると言われており、オーバートレーニング症候群の早期発見する目安となる。
つまり、身体的・精神的ストレスがかかりすぎると、身体がもうだめだよっていうサインを発してくれるってこと
なので、できるだけ早期にこのサインに気づくことが大切です。
予防で大事になってくることは、心の強さを持つということ
心の強さ=自律神経系の働きに集約される
例)交感神経優位になったときに、副交感神経が適切に働いてくれるか
ストレスが起こっても副交感神経が働くかどうか
この副交感神経を整えるためには、
腸内環境の改善と迷走神経の働きの改善が重要である。
よって予防に大事になってくることは、副交感神経を整えるという観点からクライアントのストレスと向き合うことである。
またこの副交感神経を整えるということを狙って行うことが大切。
これは日々の臨床でも同じことが言えるが、
たまたま結果的にうまくいくのか、狙ってうまくいくのとでは臨床家自身の成長スピードが変わってくるし、1番は再現性に関わってくる。
・網羅的な指導が包括的アプローチには必要で、網羅的アプローチについてお伝えしてきましたが、網羅的な指導ができるようになるためには、勉強のハードルは高くなる。
しかし、ハードルが高い分、貢献度やビジネス的にはとても有意義なことにつながる。
またこの包括的な視点を持って、日々の臨床に取り組むことが大切。
・運動指導する際は、徒手療法で身体が動きやすい環境を整えた上で、運動指導をするのがベスト。
これは、臨床にも同じことが言えて、疾患にかかわらず、いきなり運動させるのではなく、身体を動きやすい状態にしてから運動させるほうが効果は得られやすい。
・食事指導は、バイオマーカー(血液検査、唾液検査)を見て指標を作って指導するのがベスト
「~を食べてください」よりも、「~を食べないでください」をまずは指導することが先決
例)体重を落としたい人に「野菜を食べてください」と指導する→野菜食べてるけどめっちゃジュース飲んでる
これは、食事指導に限らず、適切な動き方を指導するよりも先に禁忌を指導するのが先決ということにも通じる。
その人の段階(フェーズ)を見極めて、こちらの要求をする
例)今は細かいところを指導する段階なのか。新人の指導に使える。
・今後のトレーナーやインストラクターがやるべきことは同じで、どの職種においてもいかなる状況においても対応できるように準備することが大事。
・知識の探索をする
理学療法士だけよりも色々なことができるほうが良い。知識があれば連携できる人が見つかる。
連携ができればお互いがWin-Winの関係になれる。お互いのクライアントが増える。
これからの生存戦略として、自分ができないことを減らしていき、連携すること
包括的に物事を捉えることのメリット
例)疼痛が介入直後は軽減したが、疼痛が再発した時の思考
介入に問題があった?
いきなり、介入方法が間違いであったと決めつけるのは安直である。
介入後に、介入効果を打ち消す何かが起こったという捉え方。
効果がなぜ打ち消されたかを考えるのも一つのアプローチになり得る。
メンタルの不調が現れる意味とは
オーバートレーニング気味の時は、メンタルの不調から身体のサインが出ることが多い。その次に免疫機能の低下から身体のサインが出て、最終的にパフォーマンスが低下する流れがある。
そのため、早期にオーバートレーニングを把握するために、メンタルの評価が有効である。
POMSという気分状態を評価する質問形式の評価方法がある
また、こられの症状が”休息”で改善されるのであれば、それは初期段階であったということ。
休息で良くならなかった場合、他の対処法を検討するべきであり、積極的なリカバリーが必要である。
リカバリー前後の評価をする場合、主観的な変化は、効果がバッチリ出ないと起こらないため、客観的な評価で数値的な変化を示せると良い。
よく用いられる問診は主観的な評価であるため、すぐには変化がみられにくい。
数値的な変化で現場でよく使われているものは、心拍変動数(HRV)
- 連続した心拍の間隔の変動のこと
- 心拍変動数が高い=迷走神経機能が高い
- HRVが低い→交感神経優位
- HRVが高い→副交感神経優位
また、心拍変動数は深呼吸にて増加すると言われており、HRVを最大にする呼吸リズムで深呼吸を行うことで、副交感神経優位な身体へと整えることができる
心拍変動数を測定するには機器が必要で最も簡便なものはアップルウォッチである。
・精神的ストレスに関しては、ストレスの原因になっていることを聞けるのが1番であるが、現実問題なかなか難しいため、症状だけを聴取する
・仕事中での歩行とウォーキングの時の歩行では効果が全く違う。
→研究でも自然の中を90分歩くと脳のうつに関する活動が減少していたことがわかっている
ウォーキングセラピー
イギリスでは、ウォーキングセラピーという心理療法がある
イギリスの臨床心理士であるジョナサン・ホーバーは歩くことは、仕事のストレス、うつ病、依存症も軽減する効果があるとしている
ただ歩くのではなく、自然の中を歩くことが重要です。
通勤で歩いているから、仕事中に歩いているからでは、精神的なストレスは改善されないということです。
ウォーキングセラピーでは自然の中を歩くことで
- 心理面
- 身体面
- スピリチュアルな面
で効果をもたらしてくれる
ウォーキングセラピーに関してはまた別のコラムで詳しくお伝えしていきます。
本日はここまで
ではでは^^