ピラティスレッスン編 S くん#7
みなさんこんにちは
今回は6回目のレッスンの模様をお伝えしていきます。
今回のコラムは
理学療法士
ピラティスインストラクター
運動指導に関わっている人
前回はニーリングでのエクササイズを主に行い、脊柱のスタビリティを引き出した中で上半身のモビリティを学習していく目的でレッスンを行ってきましたが、
前回の長座位に続いて負荷量が高すぎたため、代償動作が出現してしまい、効果が半減してしまいました。
今回はさらに負荷を調整した四つ這いで行っていきたいと思います。
それではやっていきましょう
評価
前回のレッスン後は、頸部の回旋可動域は改善しました。
しかし、
翌日から左の腰背部痛が出現していました。
介入直後の状態では、疼痛は消失していますが、
まだスタビリティが不十分な状態ですので、動いているうちに徐々に疼痛が出現してしまう。
というような現在の身体状況でした。
初期の症状と比較して、改善傾向ではあるため、方向性はこのままで
クライアントの身体レベルにあったエクササイズ処方を模索していきたいと思います。
6回目エクササイズ
壁フットワーク
すっかりお馴染みですが、こちらは外せないエクササイズですね。
目的は、脚のウォーミングアップが主ですが、
クライアントの場合、股関節・膝関節・足関節全ての機能向上を目的にも行っております。
壁フットワークのやり方や狙っている効果に関しては、過去の記事を参照ください
だいぶフットワークの一連の流れが行えるようになってきました。
フットワークは色んなバリエーションがあるため、次回は違うバリエーションで行い、新しい感覚を入力していきたいと思います。
続いてのエクササイズに移ります。
四つ這いでの股関節屈曲
四つ這いは、3回目のエクササイズで行いましたが、あれ以降遠ざかっていました。
四つ這いは、今回のクライアントに限らず、全人類にとって効果的だと僕自身思っています。
話し始めるとキリがないのですが、簡単に説明しますと、
人が生まれてから歩くまでを思い返してみてください。
はじめに首が座り、次に寝返りができるようになり、腹這いができるようになり、四つ這いができるようになり、ハイハイができるようになり、つかまり立ちをして、立てるようになって、最終的に歩けるようになります。
何を当たり前のことを言っていると思うかもしれませんが、
発達学の観点からみると、四つ這いができないと歩けないということです。
つまり、四つ這いには、歩くために欠かせない重要な要素が備わっているということです。
臨床では、日常生活に問題を抱えている人を対象としています。
これらの人は、「歩いているときに痛い」などと動いている時の痛みを訴える方が多いです。
これらの人に対して、発達学的観点から歩きより前の動作、つまり四つ這いをできるようにしようというが目的です。
四つ這いを行うことで、欠けていた要素を再度学習し、日常生活の動きを改善させていくという狙いです。
話が脱線してしいまいましたが、
クライアントが四つ這いを行う目的を整理します。
目的
- 脊柱のスタビリティ向上
- 肩甲帯のスタビリティ向上
- 頭部前方突出の改善
- 股関節・肩関節への固有感覚入力(床反力入力)
- 胸椎伸展促通
ざっと以上が四つ這いをとる目的です。
またメリットも多数存在し、
- 腰椎の伸展の代償がわかりやすい。
- 固有感覚が入力されることで運動学習を促通できる
- 代償動作がわかりやすいため、クライアントの不足している機能が一目瞭然
- 支持基底面が広い
クライアントの四つ這いの特徴としては、
- 頭が下がる
- 肘が曲がる
- 翼状肩甲になりやすい
- 腰椎伸展しやすい
- 上半身重心になりやすい
- 胸椎伸展が出にくい
ざっとこんな感じです。
これらをキューイングにて修正していきます。
修正していく中で、クライアントからこんな訴えが聞かれました。
「手で地面を押すと腕が痺れてくる」
時折やってくる腕の痺れ。
以前も、ニーリングで胸をはるようなキューイングをしたときに聞かれていました。
私は、手で地面を押すのが不十分で、頭が下がり、顎は上がり、肩がすくんでしまっていたため、腕神経叢が圧迫されて痺れが起こったのだと思ってました。
なので
「もっと地面をプッシュ。頭の位置高くして、顎引いて」
このようなキューイングをしました。
すると痺れはさらに強まりました。
しかし、適切なポジショニンに誘導しているのだから、このまま続けていけば
いずれ痺れは消失すると考えていました。
四つ這いがとれたら、次に股関節屈曲を行っていきます。
脊柱ニュートラルを保ちつつ、股関節の純粋な屈曲動作を学習していきます。
クライアントの場合
股関節屈曲していく時は、脊柱のニュートラルが保ったまま動作を行うことができますが、
股関節伸展時に、腰椎伸展の代償が入りやすいため、
「お腹を引き込みながら戻していくように」
とキューイングを出しエクササイズを行いました。
再評価
腰痛消失し、抱えていた症状はなくなりました。
やはり四つ這いで難易度を下げた中で、脊柱のスタビリティを学習していけば腰痛は無くなりました。
しかし、
翌日のリハビリで、患者さんの介入をするたびに腰痛が出現したとのことでした。
一回で完全に良くなるわけではないため、引き続き、継続は必要です。
次回のプランニング
四つ這いでエクササイズを行うことで代償を抑制した中で狙った効果が出せるようになってきたので、
ひとまず
- 壁フットワーク
- 四つ這い
- 四つ這い股関節屈曲
の流れでレッスンを継続していこうと思います。
そんなこんなで7、8、9回目とレッスンを続けていきました。
必ずレッスン前後での評価も行いながら、腰痛の状態を把握しながら進めていきました。
10回目のレッスンにてついに事件が起こります
そんな10回目のレッスンの模様をお伝えしていきます。
評価
身体の状態を聞いたところ、
「今週の月曜から腕を上げたまま保持すると、右薬指と小指の痺れが出現する」
「日曜日から左肩が外れた感じがする」
このような訴えが聞かれました。
また、今日は仕事が立て込んでいたため、お昼ご飯を食べれていないとのこと。
本日は、いつものレッスンの流れではなく、痺れと肩の症状改善を目的にレッスンを行っていきます。
10回目エクササイズ
膝つきサイドプランクでの肩関節運動
エクササイズ名が長いですが、エクササイズの説明していきます。
まず膝つきサイドプランクの目的
目的
- 肩関節求心位の感覚入力
- サイドラインの賦活
- 続いて肩関節運動の目的
肩関節運動の目的
目的
痺れの改善
開始姿勢
左横向きに寝ます
肩の真下に肘を置きます
脇腹と床の間の空間を保つ
左脚を曲げて、右脚は膝を曲げたまま、後ろに伸ばします
エクササイズ
脇腹と床の間の空間を保ったまま、右腕を前に上げていきます(痛みが出ない範囲)
ゆっくり元の位置まで腕を下ろしていきます
よくある代償動作
- 脇腹が落ちてくる
- 骨盤が前にずれてくる
- 肩が落ちてくる
- 頭が落ちてくる
クライアントの反応は
- 痛みが出ない範囲で動かしても違和感が残る
- サイドプランクのニュートラルポジションを取るだけで、痺れの予兆が出てくる
うーんイマイチな反応でした。
右肩はどんな動きしても、違和感が残ってしまいます。
また、左肩に関しても、求心位の感覚入力するも、外れた感じは変わらないと。
とりあえず次のエクササイズに移りました。
四つ這い
いつも通り四つ這いをしましたが、これはさらに逆効果でした。
痺れは強くなり、左肩の外れた感じは変わらず、途中で中止しました。
再評価
レッスン前より悪化させてしまい、クライアントさんには本当に申し訳ないです。
今回は、後輩がクライアントだったため、いいですが(よくはないけど)
これがもし一般のクライアントだったら、
もう二度ときてくれないだろうし、
口コミは悪くなり、
新規のクライアントも減ってしまうでしょう。
この辺のプロ意識が足りてませんでした、
途中ですが今日はここまで。
次回は、今回の結果に至った原因の考察と次回のレッスンの模様についてお伝えしていきます。
ではでは^^