ピラティスレッスン編 Sくん#6
みなさんこんにちは
本日もレッスンの模様をお届けします。
前回は5回目レッスンの途中、壁フットワークまでお届けしましたね。
今日はその続きからやっていきましょう。
今回のコラムは
- 理学療法士
- ピラティスインストラクター
- 運動指導に携わってる人
それではやっていきましょう。
5回目エクササイズ
ニーリングリブケージアームズ
ニーリング(膝立て)でのエクササイズです。
まずニーリングでのエクササイズの利点ですが、
- 膝から下の関節の影響をなくせる
- 股関節のスタビリティに有効
- 膝から下の関節での代償動作をなくせる
- 体幹のスタビリティに有効
クライアントは大前提にスタビリティ機能が全身的に低下しているため、スタビリティを促した中でエクササイズを行う狙いです。
次にリブケージアームズの説明です。
リブケージアームズは英語で表現されており、日本語に訳すと
- リブケージ=胸郭
- アームズ=腕
つまり”胸郭腕”というエクササイズ名です。シンプルですね。
目的
- 近位の安定性と遠位の可動性の促通
- ウォーミングアップ
開始姿勢
両腕を体の横に置きます
手の向きは、気をつけの時の向きです。
エクササイズ
胸郭のニュートラルポジションが保てる範囲で、両腕を挙げていきます。
挙げきったら、身体の横まで両腕を下ろしていきます
よくある代償動作
- 両腕を挙げる時に
- 腕を広げながら挙げる→広背筋の短縮
- 手のひらを正面に向けながら挙げる→広背筋の短縮
- 胸郭が広がってしまう→広背筋の短縮or内腹斜筋の弱化
リブケージアームズは本来、仰向けで行うエクササイズですが、
ニーリングで行うことで、より股関節と体幹のスタビリティを高めることができます。
クライアントが実際に行ってみると、
- 頭部前方突出しながら腕を挙げる
- 腰椎の伸展が若干はいる
代償動作がみられたため、バーバルキューイングで修正しようと試みましたが、
なかなか難しい。
「首長く」
「腰反らない」
「お腹凹ます」
などありきたりなキューイングでは、もっていきたい運動方向に誘導ができませんでした。
キューイングは今後の最大の課題ですね。
キューイングで修正できていれば、このエクササイズはちょうどいい負荷のエクササイズだったと感じました。
ウォーミングアップはこれで終了
次のエクササイズにいきます。
ニーリングロングバックストレッチ
ニーリングで行うことの目的は先程のエクササイズと同様です。
ロングバックストレッチの説明です。
目的
胸・首・腕の筋肉の伸張、上背部の強化
開始姿勢
気をつけの手で、両腕を体の横に置く
エクササイズ
両腕を伸ばしたまま、肩をあげないように両腕を後ろに動かします。この動きを数回繰り返した後、2つ目の動き
肩が上がらないように両肘の曲げ伸ばしをします。肘は常に後ろを向いてるようにします。
よくある代償動作
- 両腕を後ろに動かす時に肩があがる
- 両腕を動かす時に頭が下がる
クライアントが行うと
まず開始姿勢をとること自体が難しかったです。
頚部ニュートラルポジションに保つのがやっとでした。
胸を開くようにして両腕を体の横に置くので、その姿勢をとるだけで悶絶していました。
さらに、
「腕が痺れてきた」
という症状が出てきました。
私はこの時猫背になり、肩は上がり頚部前方突出かつ巻き肩に近い形になっているため、腕神経叢が圧迫され痺れが生じていると思っていました。
なので
- 「胸を張って」
- 「肩下げて」
- 「首長く」
というキューイングをだしました
姿勢修正をしても痺れが無くなることはありませんでした。
あろうことか、私はこのままエクササイズを続けました。
今思えばなんて恐ろしいことをしたんだと反省してもしきれないですが、
そんなこんなで二ーリングロングバックストレッチは終了しました。
後で考えたらわかることですが、
壁でのフットワークの時ですら、頭部前方突出や肩の代償が出ていたのに、
より高難度の二ーリングで代償を抑制した中でエクササイズができるはずないですね。
反省はまた後ほどするとして
次のエクササイズに移ります
二ーリング肩関節水平伸展
名前の通り二ーリングの姿勢で肩関節の水平伸展を行います。水平外転ともいいます。
目的
前胸部の伸張
開始姿勢
膝立ちになり、両腕を前ならえします
エクササイズ
腕を肩の高さまであげたまま、背中の方に動かしていきます。
胸を開いていくように腕を水平を保ったまま後ろに動かします。
よくある代償
- 頭部前方突出
- 骨盤前方スウェイ
- 腰椎伸展
クライアントの猫背の原因の1つとして、
前胸部の組織の短縮があります。
要は、巻肩となりその結果猫背になっていると。
その逆も考えられますけど、
どっちにしろ前胸部の柔軟性が失われているので、
前胸部をストレッチしながら動かしていく目的で行いました。
今回の水平伸展の動きでは、前のエクササイズで出現していた腕の痺れは生じませんでした。
これはまた別のコラムでお伝えしますが、神経を圧迫する方向に動かしているか否かがキモになってきます。
今回は幸いにも神経を圧迫するまでには至らなかった様子。
前胸部が開いた感覚もクライアント自身が感じられていたため、このエクササイズは悪くはなかった印象です。
最後のエクササイズです
ダウンストレッチ
このダウンストレッチは、リフォーマーという器具を使って行うピラティスエクササイズです。
もちろんリフォーマーはないため、病院にあるレッドコードを使って代用しました。
目的
脊柱のスタビリティ向上、上半身の筋力強化、近位の安定性と遠位の可動性、脊柱のニュートラルの意識づけ
開始姿勢
両膝をつき、足首を立てます。手をレッドコードに置いて肘を伸ばします。骨盤と脊柱がニュートラルポジションになるようにします
エクササイズ
脊柱のニュートラルを崩さないように肩関節屈曲の動きで体を下げていきます。
肩関節伸展の動きで体を元の位置に戻していきます
エクササイズ中は肘と股関節は伸展位に保ち、肩関節のみ動かしましょう
よくある代償
- 股関節や脊柱の過伸展
- 頭が下がる
クライアントは脊柱のニュートラルを保つことが苦手なため、脊柱のニュートラルをキープしたまま、遠位である腕を動かすことで脊柱のスタビリティを高める目的で行いました。
ただ、このエクササイズは、レッドコードで行う場合は、手を置いているコードが動き、そのコードを動かないように止めるという肩甲帯のスタビリィも求められるため、より近位の安定性が求められます。そのため、クライアントには負荷が高すぎました。
上記の代償が著明に出現してしましました。
再評価
前屈時の胸椎伸展と頭部屈曲は以前よりでるようになりましたが、前回のレッスン後のような感覚はないとクライアントさんからのお言葉。クライアント自身の動きの感覚が研ぎ澄まされてきているようでそこはとてもいいところだなと。
客観的にみると、腰椎のスタビリティが弱いため、脊柱全体的に動きすぎているなという印象でした。
今回は比較的、今までよりも動きが多めの内容でしたので、きちんと脊柱スタビリティできておらず、過剰可動性を引き出してしまったなという印象です。
モビリティの動作を見てみると、見た目には動きがよくなっているように見えますが、スタビリティするべきところができていないと痛みにつながります。
次回のプランニング
今回は、エクササイズ姿勢をニーリングとし、代償を抑制し、スタビリティを引き出した中で上半身のモビリティを学習していくことを目的にレッスンを行いました。
結果は、またしても負荷量が高すぎ、狙った反応を引き出すことはできませんでした。
次回は、負荷量をさらに調整し、代償が出ないようにかつスタビリティを促通することができるようなエクササイズを行います。
ニーリングがダメなら次は、四つ這いですね。支持基底面が広くなるため、安定性は担保されるはず。
それではこの辺で
ではでは~^^