ピラティスレッスン編 Sくん#5
みなさんこんにちは
前回は、ピラティスレッスン編ーSくん④ーでエクササイズ4回目をお伝え途中で
壁を使ったフットワーク
座ってヒールレイズ
までをお伝えしました。
今回は前回の続きと5回目のレッスンの模様までお伝えしたいと思います
今回のコラムは
- 理学療法士
- ピラティスインストラクター
- 運動指導に関わる人
それではやっていきましょう
4回目エクササイズ
シーティッドトライセプス
前回の壁を使ったフットワークと座ってヒールレイズのウォーミングアップが終了したので、次はメインのエクササイズを行っていきます。
3回目のエクササイズの反省点の中で、
- 負荷量が高すぎた
- 代償を抑制できなかった
- そもそも仰向けがきつかった
が挙げられました。
仰向けになると腰が反ってしまい痛みが出てしまうのがネックのため、
代償が出ないような姿勢でエクササイズを行う必要がありました。
そこで、長座位で行うシーティッドトライセプスというエクササイズを行いました。
マシンピラティスの中のチェアーというマシンを使うエクササイズです。
もちろんチェアーなんてマシンはあるはずもないので、近い形でエクササイズを行っていきます。
簡単にエクササイズの目的を説明すると
- 胸郭の柔軟性向上
- 頭部前方突出の改善
です。
今回のクライアントは、典型的なスウェイバック姿勢のため、
頭部前方突出と円背が著名にみられています。
そのため、頭頸部と胸椎の可動性低下を引き起こし、それをカバーしようと腰が過度に動きすぎてしまい(過可動性)腰痛を引き起こしているのです。
なので、頭頸部と胸椎の可動性向上が得られれば、自然と腰も良くなるということです。
正しく頭頸部と胸郭を動かしていき、開放させていくエクササイズがこのシーティッドトライセプスです。
次にエクササイズのやり方ですが、
今回は、チェアーのマシンがないため、レッドコードという天井から吊り下がっているひもを使って、同じエクササイズ効果を狙っていきました。
開始姿勢
- 長座位で座って、両手でゴムをつけたレッドコードを持ちます。
- ゴムを床方向に手で押し伸ばしていきます。
- そうすることで、首と胸周り・背筋を伸ばしていきます。
エクササイズ
- 上半身は保ったまま、肩の位置を変えずに、両肘を曲げていきます。
- いけるところまで(代償が出ない範囲)曲げたら、元に戻ります。
- 繰り返します。
よくある代償
- 肘を曲げるときに脇が開く
- 肘を曲げるときに肩がすくむ
- エクササイズ中、腰が反りやすい
実際にクライアントが行ってみると、
代償だらけでした。(笑)
いや笑えないのですが、
代償動作をまとめると
- 開始姿勢をとるときに頭頸部が前方突出してしまう
- 腰椎伸展が入ってしまう
- 肩がすくむ
- 胸椎伸展が出ずに丸まってしまう
なので、エクササイズ後の姿勢はおろか若干腰に違和感が出てしまいました。
最悪の形で4回目のレッスンは終了。
再評価に移ります。
再評価
今回はエクササイズごとに再評価を行っていたため、改めて、各エクササイズ後の評価をまとめていきます。
壁でのフットワーク
- 股関節の可動性↑
- 股関節にスイッチが入った
- 腰の痛み消失、痺れ消失
- 前屈可動域↑
レッグパンプス
- 股関節の可動性↑
- ハムストリングス、腓腹筋の伸張性↑
- 腰椎可動性↑
- 胸椎伸展↑
シーティッドトライセプス
- 腰の違和感↑
- 腰椎前弯↑
- 頭部前方突出↑
はい!4回目レッスンの再評価でした。
うーん、レッグパンプスまではいい感じだったのになー
やはり、代償動作が生じてしまうようなエクササイズでは、不良な運動学習が進み、それがすぐに身体の反応として現れるんですな。
次回のプランニング
今回のエクササイズは、仰向け以外のエクササイズを選択し、代償動作を極力抑制した中で行うことが目的でした。
レッグパンプスまでは、代償を抑制した中でエクササイズを行えていましたが、長座位では、抑制できませんでした。
長座位で代償が生じた原因としては、クライアントはハムストリングスが硬いため、長座位をとると骨盤後傾方向に引っ張られます。
その状態で骨盤を立てて、背筋をスッと伸ばした長座位をとろうとすると、
腸腰筋がうまく働かず、骨盤前傾させることが難しく、
腰部脊柱起立筋を使って骨盤を立てようと、過剰に腰椎伸展させようとします。
その結果、過剰に腰椎が動いてしまうため、エクササイズ後の腰の違和感につながったということですね。
このことから、長座位のエクササイズも現時点では、負荷量が高すぎるということです。
仮に長座位でどうしても行いたいということであれば、
- 台に座ってもらい長座位をとる
- 膝を立てて、体育座りのような姿勢で行う
上記のような修正パターンで行うのが望ましいかなと思います。
次回は、今回と同様、腰椎伸展の代償が出ないような姿勢で行える、頭頸部と胸郭の柔軟性を向上させるためのエクササイズを選択します。
具体的な肢位でいうと、ニーリング(膝立て)で行おうと考えています。
改めて、運動指導の難しさを感じるとともに、適切なやり方でその人にあったエクササイズを行えば、理学療法士が行う徒手療法ではなくても、運動療法で変化は起こせるということがわかりました。
このまま5回目のレッスンの模様までお伝えしていきます。
5回目レッスン前評価
5回目のレッスンは4回目のレッスンの3日後。
- 目立った腰痛なし
- 股関節の可動性は保たれている
- ハムストリングスと腓腹筋の伸張性も保たれている。
- 脊柱のラウンド↓
股関節の可動性と筋肉の伸張性が保たれているのは驚きでした。
やはり、運動学習で脳の書き換えが起こると、日常生活にちゃんと汎化されて、その結果姿勢や動きの変化として表れるんだなと実感しました。
特にマイナスな変化はみられなかったので、予定通りエクササイズを進めていきます。
大前提ですが、その日その日でクライアントさんの体調、調子は違うため、エクササイズを行う前に必ず評価をすることが大事だと思っています。
もしかしたら、その日は調子が悪かったり、前回のエクササイズの影響で違った症状が現れていたり、逆に症状がとれていたりと。
毎日身体の状況は目まぐるしく変わっていくので、身体の変化に合わせて、エクササイズを選択できるようにしないといけないと日々感じております。
これは、ピラティスに限らず、日々の臨床業務でも、なんでもそうですよね。
なので、必ずレッスン前の評価を行うようにしています。
今回は、そのまま予定通りのエクササイズを行っていきます。
5回目エクササイズ
壁フットワーク
まずは脚をウォーミングアップと同時に脚を整えていきます。
前回のフットワークでは、
踵の上げ下げ
↓
踵を上げたまま、股関節と膝関節の屈伸運動
という流れで行っていました。
もちろんこの流れだけでも十分効果は得られるのですが
フットワークには何通りものエクササイズの流れがあり
前回はエクササイズの流れの一部にすぎませんでした。
1番スタンダードな流れとしては
踵あげる
↓
踵上げたまま、股関節と膝を曲げていく
↓
股関節と膝を曲げたまま、踵だけ床におろす
↓
膝を伸ばして、最初のポジションへ戻る
今回は、後半の股関節と膝を曲げたまま、踵だけ床におろす→膝を伸ばして、最初のポジションへ戻るところまで行いました。
後半の動きを入れることで
- ヒラメ筋の遠心性収縮促通
- ヒラメ筋のストレッチ
- 距腿関節背屈可動性↑
下腿がより整うようになっています。
これ本当にすごくて、実際にやると、足が小鹿のようにぶるぶると震えます(笑)
普段の生活でいかに腓腹筋を使っていて、ヒラメ筋が使えていないかが一目瞭然です。
クライアントもこのエクササイズ中、足がつりそうなくらいガクブルでした。
しかし、足がつることはありません。
ちゃんとヒラメ筋が使えていればの話ですが、基本的に、足がつるのは速筋線維が多い腓腹筋やハムストリングスで
遅筋がメインのヒラメ筋がつることはありません。
だからつりそうになっても安心してエクササイズを続けることができます。
途中になりましたが、本日はここまで
次回5回目レッスンの続きをお伝えしていきたいと思います。
ではでは^ ^