ピラティスレッスン編 Sくん#3
みなさんこんにちは
前回に引き続き、レッスンの模様をお伝えしていきます。
前回はまだスタビリティが不十分な状態で四肢ののモビリティ要素のエクササイズを取り入れてしまったため、
良くない反応が出てしまいました。
今回はスタビリティエクササイズメインでレッスンしたのでお伝えしていきます。
今回のコラムは
こんな人にオススメ
- ピラティス指導している人
- 理学療法士の人
- 運動指導している人
それではやっていきましょう!
評価
まずはエクササイズ前に簡単に問診を行いました。
すると、腰痛の訴えのみならず様々な症状が出現していたのです。
- 常に両方の肩こり
- 頚部回旋時の詰まり感
- 右底屈外返し痛・圧痛
話を聞くと今が1番身体の状態が悪いという。
これはまずい(笑)。ちなみに前回の2回目のレッスンから約1週間後の体の状態。
やはり悪い動きを身体が学習して、その結果、身体の不調に繋がっているんだなと実感。
続いて姿勢とムーブメント評価
初回と比較すると股関節のスイッチがはいり、股関節が使えるようになっていますが、頭部前方突出・巻き肩は顕著に出ています。
前屈・後屈はいずれも脊柱全体のラウンド、カーブが出ていません。特に巻き肩と頭部前方突出の影響から上位胸椎と肩甲骨の動きも制限されている状態です。
以上の問診の情報からやはり全体的にスタビリティー不足かつハイパーモビリティ(動きすぎ)の状態のため、まずはスタビリティを獲得させるようなエクササイズを行うべきだという結論に至りました。
3回目エクササイズ
YURbackのスタビリティカテゴリー中心にエクササイズを行いました。
背臥位ニュートラル
まずは「ニュートラルポジションをしっかり取らせる。」これができていないと、パワーハウスが機能せず腹圧が低い状態で運動することになり、それではいい運動学習は望めません。
ただ今回のクライアントはこのニュートラルポジションをとること自体が難しいパターンでした。
代償としては、
- 腰椎伸展
- 頭部前方突出
- 巻き肩
です。
これらの代償は今のクライアントの身体状況では完全にニュートラルポジションをとることは難しく、ある程度
妥協点をみつけなければいけませんでした。
呼吸
呼吸は相変わらず胸郭の可動性が低下しており、身体全体での空気を取り込むことが苦手でした。酸素が上手く
循環しないと、過剰に働いてる筋肉が弛緩できませんから、身体全体での呼吸ができていないと運動も上手くいきません。
ベントニーフォールアウト
骨盤を動かさないように脚を開き(股関節外転外旋させ)元に戻すエクササイズですね。
股関節単体での動きが出にくいため骨盤も一緒に動いていってしまいます。
こちらも呼吸と合わせて動かしていき呼吸と運動を連動させていきます。
シングルレッグマーチ
ニュートラルポジションを保ったまま股関節を曲げていくエクササイズです。一見単純に思えますが、このニュートラルポジションを保ちながらというところがポイントです。
今回のクライアントさんもですが、大腿直筋の代償が入り膝関節が伸展しながら股関節屈曲してしまうという。これでは腸腰筋などの股関節単体の筋肉にスイッチが入りません。
また、骨盤のニュートラルを保てず、股関節屈曲とともに骨盤が後傾したり前傾したりしてしまう代償も起こりやすく、今回のクライアントさんでは骨盤前傾が出てしまい、腰を反らせながら、脚を動かすというクセがでてるということですね。
代償のでない範囲で繰り返していくと、運動学習が進み、股関節単体で屈曲していくという感覚がわかってきたとクライアントさんも話されていました。
アップアップダウンダウン
シングルレッグマーチと同じ目的のエクササイズでこのエクササイズの方がちょっと難易度が難しいです。
先程と同じように股関節屈曲していき、屈曲させたところでキープし反対側の股関節も屈曲させていきます。両脚屈曲させた状態をキープしながら、片脚ずつ下ろしていくというエクササイズです。
難易度が高い分、シングルレッグマーチの時に出現していた骨盤・腰椎の代償が出やすいため、骨盤と股関節の分離とコントロール力がより求められます。
マーチ
シングルレッグマーチとアップアップダウンダウンの最終形態のエクササイズですね。フローの要素が加わるため、より一層代償を抑制した中でのコントロール力が求められます。
レッグサークルズ修正
膝を立て、仰向けで膝を曲げたまま片脚を持ち上げ、股関節からまるを描くようにグルグル回していくエクササイズです。
ポイントは、骨盤がグラグラしないように脚だけを回すことです。上下左右様々な方向への動きの中で、骨盤を安定させるというような要素が必要になってきますので、これまで行ったエクササイズの集大成みたいな位置付けです。
クライアントの場合、大きく脚を回そうとすると、すぐに骨盤がグラグラしてきてしまうため、初めは、グレープフルーツくらいのごくごく小さなサイズのまるを描くイメージで行っていきました。
ストレートブリッジ
膝をたて、仰向けで寝ます。背骨を一切動かさずに、お尻だけを持ち上げていきます。脊柱のニュートラルを保った中で、股関節の伸展だけでお尻を持ち上げていくのがポイント。
クライアントの場合、腰椎伸展での代償が著名で、お尻をあげていく時に、腰の痛みが出現してしまいました。痛みを伴いながらの運動は良くないため、一旦このエクササイズは中断しました。
四つ這い
四つ這いの姿勢をとることで、脊柱のスタビリティの学習を促しました。
このクライアントにとっては、腰椎伸展の代償が出現しにくいポジションのため、代償を抑制した中で、脊柱のスタビリティを高めていくことができます。
胸椎の伸展も同時に促すことができたため、クライアントにとって四つ這いは反応がいいエクササイズと感じました。
再評価
姿勢から見ていきます。立位は、介入前にみられていた、頭部前方突出と巻き肩は軽減していました。動きの評価では、脊柱の全体的な可動域が得られていました。前回と違い痛みも生じていませんでした。
評価を進めていく中で、背臥位で寝てる時にすでに腰椎伸展の代償が出現しており、腰の痛みが出ていることが発覚しました。
それは、背臥位のニュートラルポジションをとっている時も同様で、初めは大丈夫だけど、やっている途中で痛くなっていることがわかりました。
このことから、今回のクライアントは仰向けで寝るだけでも、腰椎が伸展してしまい、腰痛を引き起こしてしまう状態であると言えます。
つまり、今回のクライアントは仰向けで行うエクササイズは腰椎の代償を引き起こしてしまう可能性が高く、クライアントにとって強度の高い運動を行わせていたということです。
聞いていくと、夜寝る時も仰向けで寝ることは難しいため、横向きで必ず寝るとのこと。朝起きた時は、首と肩がやばくなっているとのこと。
ここまで聞くと、いかに初めの時点での問診で聴取できていなかったかがわかります。
次回のプランニング
次回は、まず仰向けでエクササイズは一切やらないことにしました。
四つ這い中心のエクササイズ構成にするか。とにかく、代償をいかに出させないような環境設定した上で、エクササイズを行うかが重要であると思います。
現時点では、エクササイズを行う肢位は決定できませんが、クライアントの動作に合わせたエクササイズ選択を行いたいと思います。
まとめ
問診のレベルの低さ、寝るだけで痛みが出てしまったり、代償が出てしまう姿勢を把握することの重要性を痛感しました。
改めて、オーダーメイドのエクササイズ選択することの重要性を学ぶことができました。
クライアントには申し訳ないですね。
やはり、エクササイズの型をそのままクライアントさんに当てはめても効果のあるエクササイズにはならないことを身をもって体験しました。もっと精進していきます。
ではでは^ ^